研究概要 |
患者からの疾患特異的ヒトiPS細胞の作製、分化心筋の解析 ・QT延長症候群:QT延長症候群1型スプライシング異常症例(KCNQ1-A344A)において、疾患特異的iPS細胞を用いた疾患表現型の再現、スプライシング異常のメカニズムに関して解析した。多電極アレイを用いた電気生理学的解析では、カテコラミン負荷による反応が分化心筋にて再現できた。また、スプライシング異常に関しては、末梢血リンパ球の解析では認められなかった新たな異常なスプライシングパターンを検出した。このような疾患特異的iPS細胞を用いた解析方法は、今まで困難であったヒト心筋での解析が可能となり、新たな知見が得られる有用な方法であると考えられ、機能解析を進めている。(第78回日本循環器学会学術集会, 東京, 3.21-23, 2014にて発表) ・カテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT):CPVTは、カテコラミン刺激により、心室頻拍・細動による突然死を引き起こす難治性疾患であり、疾患特異的ヒトiPS細胞を用いた解析が病態解明や薬効評価に役立つと期待される。リアノジン受容体(RyR2)遺伝子異常が同定されているCPVT患者より、ヒト誘導多能性幹(iPS)細胞を作製し分化心筋の解析を行った。カテコラミン負荷時の拡張期細胞内Ca濃度上昇がCPVTの表現型であることを確認し、現在薬効評価を解析中である。(American Heart Association Scientific Sessions 2013, Dalas, USA, 10.16-20, 2013、第78回日本循環器学会学術集会, 東京, 3.21-23, 2014にて発表) 不整脈患者ゲノムDNAの遺伝子解析・機能解析、新たな原因遺伝子の探索 特に家族性心房細動家系に注目し、次世代シーケンシングを用いた解析を滋賀医科大学呼吸循環器内科との共同研究にて進行中である。
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