研究課題
患者由来疾患特異的ヒト人工多能性幹(iPS)細胞細胞の作製、分化心筋の解析・QT延長症候群:現在、1,2,8型に関して解析をすすめている。1型(KCNQ1-A344A)は、末梢血と異なる複雑なスプライシング異常を認め、活動電位解析においてもカテコラミン負荷による活動電位持続時間の延長が再現されている。現在、活動電位持続時間を短縮させるcompoundの薬物実験を行いモデルとしての有用性を確認している。(European Society of Cardiology (ESC) Congress 2014, Barcelona, Spain 8.30-9.3にて発表)・カテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT):リアノジン受容体(RyR2)遺伝子異常が同定されているCPVT患者より、iPS細胞を作製し分化心筋の解析を行っている。電気的ペーシング下にCa transient測定を行ったところ、CPVT患者由来分化心筋では、健常人由来分化心筋に比べて、カテコラミン負荷後に拡張期細胞内Ca増加を生じる細胞が有意に多く、活動電位記録実験においても有意に遅延後脱分極を認める細胞が多かった。リアノジン受容体を安定化させるcompoundがこれらの現象を抑制することを確認し、現在、論文投稿準備中である。・ラミンA/C遺伝子関連心筋症:iPS細胞分化心筋を用いた研究において加齢が関与する疾患の再現はチャレンジングであるが、我々は本心筋症のiPS細胞由来分化心筋において1年に及ぶ長期培養にて核異型などの疾患表現型の再現を認めた。またカテコラミン負荷にて核異型を短期間で誘発することに成功した。(American Heart Association's Scientific Sessions 2014, Chicago, USA 11.15-11.19)本モデルを用いて現在候補治療薬の検討をすすめている。また、本疾患に関しては、患者の遺伝型、表現型の解析も行い報告した。(The 7th Asia-Pacific Heart Rhythm Society (APHRS) Scientific Session)
2: おおむね順調に進展している
疾患特異的iPS細胞研究に関して、分化心筋における分子生物学的、電気生理学的解析が順調に進んでいる。(カテコラミン誘発性多形性心室頻拍に関しては論文投稿前)
iPS細胞由来分化心筋の解析に関して、分化心筋の量、純度、成熟度が課題であるが、新たな心筋分化法(monolayer心筋分化法)、ダイナミッククランプを用いた電気生理学亭解析を取り入れ、より正確な解析、疾患モデルとしての確立を目指している。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 2件)
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