研究課題
基盤研究(C)
大阪急性冠症候群研究会に登録し、血液解析・予後追跡調査に同意したAMI生存退院例の血清検体(中央値:発症後18日)を用いて、AMI生存退院後1年以内に心不全を発症した群 (心不全発症群) と、これら心不全発症群と症例背景をプロペンシティスコアでマッチさせた対照群としてAMI生存退院後2年間心血管イベントを起こさなかった群 の2群を抽出して血清miRNA発現の差異を検討した。一次スクリーニング(N=14)において377種のmiRNAアレイ解析により14種のmiRNAを選出し、二次スクリーニング(N=86)において検証を行った。心不全発症群においてp53関連miRNAであるmiR-192が対照群と比較して有意に高値であった。そこで既知のp53関連miRNAであるmiR -194とmiR -34aについても検討した結果、これらも心不全発症群で高値を示した。また、これら3つのmiRNAの血清値は互いに相関関係を認めており、1年後の左室駆出率と左室拡張末期径との有意な相関を示した。一方、基礎的検討ではこれら3つのmiRNAを含む上清と共培養させると心筋細胞死が加速し、これら全てを抑制すると心筋生存性は向上した。更に、これら3つのmiRNAを用いた心不全予測精度において、ROC曲線の曲線下面積が0.68 (miRNA-192), 0.75 (miRNA-194), 0.72 (miRNA-34a)と良好な値を示した。
2: おおむね順調に進展している
I.心筋梗塞生存退院後の心不全発症を予測しうる血清miRNA候補の抽出1) マイクロアレイによる候補miRNAの抽出、2) TaqmanPCR法による候補miRNAの検証II.前向きコホートにおける候補miRNAの心不全・心室リモデリング予測能の検証1)大阪急性冠症候群研究会に新規登録される症例に於いて同意取得と採血上記が平成25年度に予定した計画であるが、前述の如くI.の殆どを完了した。また、II.の前向き観察部分についても同意取得と採血は順調に完了している。
計画書の予定通り研究を進める。すなわち、II.前向きコホートにおける候補miRNAの心不全・心室リモデリング予測能の検証2)前年度に選定した候補miRNAが実際に心不全発症を予測し得るか否かを検証III.候補miRNAと心不全・心室リモデリングとの関わりに関する基礎的検討1) ラット初代培養心筋細胞における検証を推進していく。
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