研究課題/領域番号 |
25461057
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
荻野 和秀 鳥取大学, 医学部附属病院, 准教授 (70294311)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 心不全 / 拡張不全 / インスリン抵抗性 / アルドステロン |
研究実績の概要 |
拡張障害におけるインスリン抵抗性の役割をAMP-プリン代謝系から明らかにして、インスリン抵抗性および心筋線維化をターゲットとした拡張障害による心不全の新たな治療方法を検討した。 基礎研究に関しては、圧負荷高血圧モデルによる拡張不全ラットに対して、高フルクトース食飼育を行い、インスリン抵抗性を惹起させた。コントロール群、薬物治療群(ピオグリタゾンまたはスピロノラクトン投与)の3群に分けて、心エコーで拡張機能を評価した。以上の検討により、インスリン抵抗性およびアルドステロンの拡張不全に対する影響が明らかになりつつある。現在研究を継続中であるが、本研究と関連性のあるデータを昨年報告した(Biomed Res. 2015;36(1):11-9)。 臨床研究に関しては、インスリン抵抗性改善薬およびアルドステロン拮抗薬の心不全におけるインスリン抵抗性への作用を検討するために、心不全患者16例を対象に、ピオグリタゾン、スピロノラクトン、フロセミド治療を16 週間行った。空腹時血糖およびインスリンを測定し、左室拡張機能に関しては心エコーによる評価を行った。さらに、線維化と炎症の指標としてMMP1、MMP2、MMP3、MMP9、TNF-α、IL-6、 MCP-1 も測定した。ピオグリタゾン、スピロノラクトンともにインスリン抵抗性を改善した。また両者の改善に炎症性サイトカインやMMPの関与の可能性が示唆された。以上検討により、未だ有効な薬物治療が確立していない拡張不全の新たな治療法に繋がると考えられる。現在、研究を継続中であるが、本研究と関連性のあるデータを昨年報告した(Circ J. 2015;79(5):1125-32)。 さらに左室拡張機能に対する酸化ストレスと炎症の影響を検討するために、アンジオテンシンII受容体拮抗薬と利尿薬の効果を拡張障害の患者に投与して検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床研究に関しては症例患者のリクルートも終了し、データの一部はすでに論文として報告した(Int J Cardiol 2014;171:398-403)。一方、基礎研究に関しては、いくつかのプロトコールが並行して進んでいるために、本研究に割く時間が少なくなり、若干遅れている状況であるが、今年度中にデータがまとまる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
基礎研究・臨床研究をともに当初の計画に沿って進める。リクルートも終了し、測定項目も酸化ストレスマーカーを除き、ほぼ終了している。臨床研究は予定通り平成28年度末までに学会発表を行い、論文化を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたデータ解析、特に酸化ストレスマーカーの測定システムの確立に手間取り、血球計画が遅延した。そのため、当該年度に予定していた学会発表および論文発表が出来なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
現在、酸化ストレスマーカーの測定系が確立し、安定したデータが出せるようになった。平成28年度中に成果を学会で発表し、論文の投稿を行う予定である。
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