研究課題
拡張障害におけるインスリン抵抗性の役割をAMP-プリン代謝系から明らかにして、インスリン抵抗性および心筋線維化をターゲットとした拡張障害による心不全の新たな治療方法を検討した。基礎研究に関しては、圧負荷高血圧モデルによる拡張不全ラットに対して、高フルクトース食飼育を行い、インスリン抵抗性を惹起させた。コントロール群、薬物治療群(ピオグリタゾンまたはスピロノラクトン投与)の3群に分けて、心エコーで拡張機能を評価した。以上の検討により、インスリン抵抗性およびアルドステロンの拡張不全に対する影響が明らかになった。本研究と関連性のあるデータを報告した(Biomed Res. 2015;36:11-9; Drug Res. 2016;66:270-4)。臨床研究に関しては、インスリン抵抗性改善薬およびアルドステロン拮抗薬の心不全におけるインスリン抵抗性への作用を検討するために、心不全患者を対象に、ピオグリタゾン、スピロノラクトン、フロセミド治療を行った。空腹時血糖およびインスリンを測定し、左室拡張機能に関しては心エコーによる評価を行った。さらに、線維化と炎症の指標としてMMP1、MMP2、MMP3、MMP9、TNF-α、IL-6、 MCP-1 も測定した。ピオグリタゾン、スピロノラクトンともにインスリン抵抗性を改善した。また両者の改善に炎症性サイトカインやMMPの関与の可能性が示唆された。以上検討により、未だ有効な薬物治療が確立していない拡張不全の新たな治療法に繋がると考えられる。本研究と関連性のあるデータを報告した(Circ J. 2015;79:1125-32; Drug Res. 2016;66:628-632)。さらに左室拡張機能に対する酸化ストレスと炎症の影響を検討するために、キサンチンオキシダーゼ阻害薬の効果を拡張障害の患者に投与して検討中である。
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Drug Res (Stuttg)
巻: 66 ページ: 270-274
10.1055/s-0035-1569405
巻: 66 ページ: 628-632