研究課題
本研究は、拡張不全の急性増悪により入院し、血中遊離カルニチン濃度が40micromoles/L以下に低下、あるいはアシルカルニチン/遊離カルニチン比が0.4以上を呈する、つまりカルニチン欠乏の基準を満たす患者を対象にカルニチン300~600 mg/日の慢性投与を行い1年間の経過を追跡し、左室拡張機能、運動耐容能、骨格筋機能、バイオマーカーなどに及ぼす影響を検討することを目的とする。本研究者は、カルニチンが拡張不全に対して有効性を示すメカニズムとしてプロスタサイクリンの産生促進による心筋線維化抑制を実験的には示したが、本研究ではその臨床的検証を行うと同時に、実験的には検討しえなかった骨格筋への効果も含め他のメカニズムの可能性についても検討を行う。平成25年度(初年度)に続き、症例登録を継続している。また、心不全急性増悪により入院した患者を対象として検討したところ、カルニチン欠乏患者は高血圧、糖尿病、虚血性心疾患の頻度が高く、カルニチン欠乏は独立した予後規定因子であることが明らかとなった。
3: やや遅れている
症例登録数が計画通りには入っていないことから、当初の計画よりも進捗が遅れていると判断している。昨年から挽回をはかるべく努力しているが、高齢患者が本研究の対象患者となることが多いこともあり、認知症を有する患者が多く、退院後の当院までの通院が困難な患者の割合が年々増加している。したがって、同意を得ることが難しくなっている。さらに、今回の研究では骨格筋の筋力など運動能の評価が項目として入っているが、膝関節症など併存疾患が計測データに影響を与えると考えられる患者が、想定以上に多いことも挙げられる。
全患者で全データを収集することは考えず、対象要件を満たす患者において実施可能な評価を行ってデータ収集を諮る。これに伴い、研究に組み入れる症例数を予定より増加させ、各評価項目においてできるだけ予定していたデータ数を得るように努める。
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