研究課題
本研究は、拡張不全の急性増悪により入院し、カルニチン欠乏の基準を満たす患者を対象にカルニチンの慢性投与を行い、左室拡張機能、運動耐容能、骨格筋機能、バイオマーカーなどに及ぼす影響を検討することを目的としている。症例登録を継続しており、カルニチンの効果については、今後の追跡が終了した時点で評価を行う。この間に拡張不全患者におけるカルニチン欠乏と予後の関係についての観察研究を並行して行っている。117名の心不全増悪により入院した拡張不全患者を、入院時の血中遊離カルニチンレベルが第3ヒンジ以下、あるいはアシルカルニチン/遊離カルニチン比が第1ヒンジ以上のカルニチン欠乏群と、それ以外の対象患者(カルニチン非欠乏群)の2群に分け、比較検討した。カルニチン欠乏群では非欠乏群に比べ、栄養状態が悪くADLが低く、血中BNPレベルが高く、拡張早期の僧帽弁弁輪部運動速度が低下していた。カルニチン欠乏群では非欠乏群に比べ、一次エンドポイント(心血管死あるいは心不全入院)の発生頻度が有意に高かった。また、多変量解析ではカルニチン欠乏は、独立した予後規定因子であった。この結果は、カルニチン欠乏が拡張不全患者の予後悪化と関連することを示唆していると同時に、カルニチン投与の有効性を臨床的に検討する意義を再確認させるものであった。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
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