研究課題
近年、心筋細胞を含む多くの非神経性細胞においてコリン作動系の存在が明らかになり、心不全病態における副交感神経活動の重要性と、あらゆる細胞機能におけるアセチルコリン(ACh)の生物学的意義の再考が求められている。本研究では、非神経性コリン作動系を標的とした虚血性心疾患に対する新規治療法の開発を到達目標に掲げ、副交感神経活動がもたらす心不全病態改善作用における非神経性コリン作動系の役割を分子レベルで明らかにして、その生理作用への介入による心筋梗塞の非侵襲的制圧を目指す。心臓に常駐している線維芽細胞は心臓再構築において重要な役割を担っている。そこで、心線維芽細胞内コリン作動系の生物学的意義と重要性、心筋梗塞病態への関与、および生理作用への介入による細胞機能への影響を明らかにするための検討を行った。これまでに、心筋梗塞急性期において心筋内で増加するAChは心線維芽細胞由来であることを、心線維芽細胞内ChAT(ACh合成酵素)発現量の増加、および心筋内ACh濃度の直接測定で示した。更なる免疫組織化学的解析の結果、ChATとαSM actin(alpha smooth muscle actin, 線維芽細胞マーカー)とが梗塞領域のみにおいて共局在している様子が観察された。この結果は、心筋梗塞急性期において心筋内で増加するAChは心線維芽細胞由来であるというこれまでの仮説を支持するものである。
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