大災害の発生後に心血管病は急増する。災害後に心血管病が急増する機序の解明および予防法の確立が急務である。心臓拍動の変動(以下、心拍変動)の低下は、心血管調節系の異常やストレスの強さを反映し、心血管病の予後指標である。平成19年より蓄積してきた日本全国のホルター心電図大規模データベースを用い、平成23年に発生した東日本大震災が心拍変動に与えた影響を検討した。平成23年は、被災地住民の心拍変動は他の年に比較し低下していた。しかし、非被災地住民においては、このような傾向は認められなかった。この結果は、災害発生後に心血管病が急増する機序に心血管調節系の異常やストレスの増大が寄与する可能性を示唆する。
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