• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実績報告書

腹部大動脈瘤と瘤周囲脂肪との炎症性クロストークの解明

研究課題

研究課題/領域番号 25461068
研究機関順天堂大学

研究代表者

桑木 賢次  順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90398313)

研究分担者 松下 訓  順天堂大学, 医学部, 准教授 (20407315)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード大動脈周囲脂肪 / 炎症性サイトカイン / マクロファージ / アディポネクチン
研究実績の概要

大動脈瘤は動脈硬化を主体とする慢性炎症であることが広く知られており、また近年では臓器の炎症が局所脂肪へも波及することが明らかにされている。大動脈周囲、特に腹部大動脈周囲には脂肪組織が豊富に存在するが、脂肪の炎症と大動脈の炎症(=動脈硬化)に及ぼす影響についての知見は少ない。本研究では大動脈瘤周囲の脂肪とその他の部位の脂肪を比較し、部位によりどのような差異があるかを検討した。
開腹による大動脈瘤の手術症例、24例を対象とした。手術時に皮下脂肪および大動脈瘤周囲の脂肪、正常大動脈周囲の脂肪を採取しそれらを解析した。瘤周囲と皮下脂肪に含まれる炎症性サイトカインのうちIL-1βおよびIL-6は瘤周囲でやや高値であったが有意差はなかった。またその他の炎症性サイトカインの発現にも差は認めなかった。マクロファージ関連遺伝子の発現ではM2の割合が瘤周囲でやや高い傾向を認めた。その他線維化関連因子のbFGF, TGFファミリーや血管新生関連因子(VEGF、vWF)、さらにアポトーシス関連因子(Caspase3, 9)の発現にも差は認めなかった。しかしこれらを同一患者内で部位別に比較すると、瘤周囲は正常動脈周囲に比べアポトーシスが進行しており、血管新生因子が高値であった。またHIF1αの発現も上昇しており、血管新生因子はこれらによって誘導された可能性が考えられた。さらにアディポネクチンは正常大動脈周囲では皮下と発現は同等であったが、大動脈瘤周囲で発現が減少していた。これらの結果から、大動脈瘤周囲では炎症性サイトカインの発現は認めないものの、アポトーシスおよび血管新生が活性化されており、これらは慢性炎症の病態を反映しているものと考えられた。

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi