平成28年度は交感神経節前線維(SPN)でのα2受容体を介した間接作用(postsynaptic)をより明確にするために、パッチクランプによる実験数を増やして、Norepinephline(NE)とDexamedetomidine(Dxm)への興奮性シナプス後電位(EPSP)と抑制性シナプス後電位(IPSP)の反応をまとめた。SPNにはEPSPを優位に呈するタイプ(EPSP-SPN)とIPSPを優位に呈するタイプ(IPSP-SPN)があり、NEで両者有意に脱分極しNEのwash outで脱分極は回復した(平成25-27年度にも報告済)。EPSP-SPNsではNEによってEPSPの頻度が有意に増加し、IPSP-SPNsではIPSPのvoltageが有意に増大した。Dxmによってこれら両者のNEに対する反応は有意に消失した。また、EPSPやIPSPが観察困難であるfiringの多いSPN(firing-SPN)ではそのほとんどがNEによってfiringの頻度は減少しなかったが、その少数(4/19)では、NEによって有意にfiringが消失した。以上より、α2受容体を介した直接作用(presynaptic作用)は、以前の報告と一致し主に抑制作用が得られ、間接作用(postsynaptic)においても抑制作用をもたらすと考えられた。しかし、少数のfiring-SPNsに対するNEの作用はα2受容体を介さない反応かもしれない。本研究の結果は現在英論文に投稿中である。
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