研究課題/領域番号 |
25461072
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
近森 大志郎 東京医科大学, 医学部, 教授 (80197607)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 放射線被曝 / 心臓核医学検査 / radioisotope / SPECT / 半導体γカメラ / 冠動脈疾患 / fractional flow reserve |
研究概要 |
平成25年度は新型半導体γカメラDiscoveryの画像特性を従来型Angerカメラとを比較検討するとともに、検査に使用するTcの投与量を通常量の半分である555MBqとして撮像したSPECT画像を評価した。 新型γカメラ・システムの特徴の一つとして左室下壁と肝臓との重なりにより、灌流欠損の評価に問題を生じることがある。しかしながら、本システムの短時間撮像の利点を生かして、腹臥位撮像を追加することでこの問題を解決出来ることを報告した(第23回日本心臓核医学会総会・第13回米国心臓核医学会学術総会)。また、本研究の主題である被曝低減検査についても、Tcの投与量を従来の半分にしても、2倍の撮像時間である負荷後10分・安静時6分と延長すれば、患者に負担にならない範囲で検査を行うことが出来る。しかも、得られるSPECT画像では十分なRIカウントが得られて、画質も良好であることを報告した(欧州心臓病学会2013・第78回日本循環器学会学術集会)。 以上のように準備段階の研究でも予想された結果を得ており、また、本研究についても東京医科大学医学研究倫理委員会の承認を得て(2386号)、7月より前向き研究を開始した。まず、研究対象の候補となる患者について研究説明を行い、平成25年度中には27例のうち26例からインフォームド・コンセントを得た。このうち、冠動脈造影検査で中等度狭窄を認めて冠動脈造影用センサー付ガイドワイヤーを使用した症例は18例であった。同年度に交付された研究費は上記の特定医療器材20本分に該当するため、概ね予定通りの症例数を蓄積しており、本研究の進捗も順調であると判断している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
負荷心筋SPECT検査にて使用するTc製剤を通常投与の半分に減量した場合に、果たして臨床診断に耐えるだけの画像の質が担保できるのか、という点が第一の課題ではあったが、施設内での評価では問題はなかった。さらに、上記の研究実績の概要にも示したように、Tc低投与量プロトコールによって得られたSPECT画像に関して、国内・国外学会で報告したところ良好な反応を得た。 第二の課題は対象患者の蓄積であるが、7月から開始した本研究についても、研究内容は患者さんからも受け入れられやすく、説明を行った対象者のうち96%でインフォームド・コンセントが得られた。さらに、検査においては全例で良好なSPECT画像が得られ、かつ、冠動脈造影検査および血流予備量比(FFR:fractional flow reserve)の計測も適正に実施されている。以上より、今後の目標症例の蓄積についても順調に進行することが予想される。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進の中心は目標症例の達成である。平成26年度には30例分の冠動脈造影用センサー付ガイドワイヤーの購入に相当する研究費の交付を受ける予定であるが、平成25年度と類似の冠動脈病変形態の対象者とすれば、約40症例の追加が必要である。総計約70例となれば、新型半導体γカメラを用いた被曝低減検査の冠動脈狭窄病変に対する診断精度について、統計的にも意味のある解析を行うことができると考えられる。 また、日本核医学会よりワーキンググループとして認定されている東京医科大学・愛媛大学附属病院・福山循環器病院・新古賀病院の4施設から構成されている「半導体SPECT研究会」においても情報共有は進んでおり、愛媛大学付属病院において正常データベースの構築も行われている。これらの情報を診断精度の補強に用いる事も予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
特定医療器材を区切りのよい数量だけ購入したので、端数として少しばかりの残金を生じた。 上記の残金を次年度の交付予定額に加えて、特定医療器材を可能な限りの数量を購入する予定である。
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