研究課題
平成25~26年度には、新型半導体γカメラDiscoveryを用いたTc製剤の投与量を半分(555 MBq)とした撮像プロトコールの妥当性を確立し、予備的解析も行って冠動脈病変診断精度を概算した。平成27年度は36例の対象者を加えた結果、最終登録症例数は104例となった。なお、症例数の規定因子は冠動脈造影用センサー付ガイドワイヤーの購入予算であり、研究プロトコールに基づき58症例(同一症例に複数本使用あり)、94冠動脈に対して血流予備量比(FFR: fractional flow reserve)を計測した。残る46症例については冠動脈に中等度狭窄病変を認めず、FFR計測は非適応と判断された。以上の登録データを基に最終解析を行った概要は次の通りである。登録104症例の中で適応と判断された症例の冠動脈に対してFFRを計測し、平均値は0.79、機能的心筋虚血とされる0.80以下の病変を48血管に認めた。FFR計測が適応外と判断された218冠動脈のうち、86血管に90%以上の重症狭窄を認めた。この結果、冠動脈の機能的狭窄病変は左前下行枝(LAD)に67、左回旋枝(LCx)に29、右冠動脈に38となった。一方、低投与量プロトコールによる負荷心筋SPECTにて、LAD領域には65%の症例で心筋虚血を認め、LCx領域には35%、RCA領域には37%で認めた。最終目標の冠動脈病変診断精度はLADでは感度87%、特異度73%、正診率82%、LCxでは其々76%、81%、79%、RCAでは其々87%、92%、90%と従来のトレーサー量を用いたAngerカメラと同等であり、このような良好な結果のために、当初考慮していた複雑な解析は不要であった。しかも、従来法と比較して、撮像時間の短縮と推定被曝量が4.24-4.79 mSvと著しく低減されている利点は患者負担の軽減につながる。
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Circulation Journal
巻: 80 ページ: 1217-1224
10.1253/circj.CJ-16-0087
Journal of Cardiology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.jjcc.2016.02.020
Annals of Nuclear Cardiology