研究課題/領域番号 |
25461073
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
高野 仁司 日本医科大学, 医学部, 准教授 (90277533)
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研究分担者 |
稲見 茂信 国際医療福祉大学, 大学病院, 准教授 (30350044) [辞退]
加藤 浩司 日本医科大学, 医学部, 助教 (90366667)
汲田 伸一郎 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70234523)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 冠動脈ステント / 炎症 / 再狭窄 / 不安定プラーク |
研究実績の概要 |
本研究では、心筋集積抑制プロトコールを用いた2-[18F]-fluoro-deoxy-D-glucose (FDG)-PETを冠動脈ステント留置後の患者に行い、非侵襲的な方法で冠動脈ステント留置部位の局所炎症反応を評価し、その臨床的意義を検討している。 急性冠症候群と安定型狭心症の大半の症例でステント留置直後にFDG集積を認めるが、プラークの発達もしくは治療によって生じた炎症がどの程度持続するか、それに個体差があるか、さらにその炎症の持続時間が将来のステント留置部のイベントと関連しているのかは判っていない。本研究では、冠動脈左前下行枝近位部に冠動脈ステント留置術を受けた患者に対し、ステント留置3ヵ月後にFDG-PETを行い、その集積の経過が遠隔期のステント留置部の状態に関連しているかを検討している。具体的には、冠動脈ステント留置術3ヵ月後のステント留置部位のFDGの集積の有無と術後10ヶ月後に行うフォローアップ造影所見及びこの時に得る血管内視鏡及び光干渉断層法などの血管内イメージング所見との関係を解析し、FDG-PETがステント再狭窄やステント血栓症を発症するstentのvulnerabilityを反映しているかを検討している。 冠動脈ステント留置部の限局した炎症を検出できる方法は過去になく、本方法はそれを非侵襲的方法によって観察できる画期的な画像診断となると考えられる。そして、FDG集積の遷延が再狭窄やステント血栓症発症の危険因子となることが明らかとなれば、再造影の必要性や二剤による抗血小板療法の継続の良い指標となることから、有益な情報が提供されると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度に40例の症例登録を目標としたが、右冠動脈や左回旋枝にステントが留置された症例ではFDGの集積の有無の判定が不明瞭となることが判りそれらの症例を除外する必要があることが判明した。その結果、20例しか症例が集まらずに登録が遅れていた。本年はこの結果を踏まえ、ステント留置がFDG-PETの判定に適している左前下行枝の近位部に行われた患者に限定した。そのため、症例は14例と本年の目標である20例には到達しなかったものの除外例がなくなった。現在34例が登録されている。
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今後の研究の推進方策 |
病変を左冠動脈近位部に限定したことにより、データの分散が少なくなることが予想され、当初予定していた登録患者数60例が、40例に減らすことが可能となることが推測される。よって、来年度の早期に登録を終了することが可能と推測され、予定期間内にフォローアップ血管造影が終了できるものと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例登録の遅延により、フォローアップ血管造影時に使用するOCTの使用状況も遅延している。 また、体調不良により海外出張をキャンセルしたため海外出張旅費を使用していない状況にある。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に本年度登録した患者の血管造影検査が予定されており、OCTカテーテルの購入が必要となる。 また、海外出張も予定しており出張旅費を計上する必要がある。
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