研究課題
二次性心筋症の心臓サルコイドーシスの病態および治療法は未だ確立していない。サルコイドーシスは原因不明の全身疾患で心臓の他に、肺、 眼、皮膚、神経、消化管、筋、腎、骨等に壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が存在し、様々な臓器障害を引き起こす難病である。心臓病変はサルコイドーシスの主要な死因で心不全や致死性不整脈を引き起こす。サルコイドーシスの診断には肺や皮膚、消化管等の全身のいずれかの臓器で組織診断を行い類上皮細胞肉芽腫病変を検出をすることに基づいて確定されるが、全身の臓器障害を伴わない心臓限局性サルコイドーシスが存在し、心不全症例で心臓限局性サルコイドーシスを疑う場合は侵襲的な心筋生検を実施する必要がある。最近、マイクロRNA (miRNA)が血中にも分泌され、臓器間での遺伝子発現調整ネットワークで重要な役割を演じている可能性が示唆されていることから、今回私たちは心臓サルコイドーシス症例の末梢血液中miRNAを測定して、特異的なmiRNAを同定し、バイオマーカーとしての臨床応用や治療ターゲットとしての確立を目指して研究を行った。心臓サルコイドーシス5例と健常者3例から血液を採取して389個の血液中miRNA発現レベルをマイクロアレイを用いて網羅的にプロファイリングした。その結果、健常者と比較して心臓サルコイドーシスでは200個の血液中miRNAが有意に (p <0.01) 異常発現していた。200個のmiRNAの中で心臓サルコイドーシスでは13個のmiRNAが強力に (ratio> 4) 発現が低下し、27個のmiRNAが発現が上昇していた。以上から心臓サルコイドーシスの診断的血液バイオマーカーとして、これらのmiRNAが臨床応用できる可能性が示唆された。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 12件、 招待講演 3件)
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