研究実績の概要 |
急性冠症候群(ACS)では、冠動脈プラークの破綻とそれに引き続く血栓形成が主なメカニズムとされてきたが、病理学的にはプラーク破綻(rupture)は3分の2で、残る3分の1はプラークのびらん(erosion)によるものとされている。この中でもThin Cap Fibrous Atheroma (TCFA)はプラーク破綻をきたし易く、ruptured fobrous cap ACS (RFC-ACS)の一つの特徴とされている。一方、plaque erosionは、OCTによる観察では、intact fibrous cap ACS (IFC-ACS)の特徴をもつとされている。従来の血管内エコー(IVUS)の解像度は150micrometer程度で、従来OCTから報告されていた65micrometer以下の線維性被膜を持つTCFAをIVUSで検出することは困難とされていた。最近のNarulaらの病理学的検討において、TCFAはもう少し厚く84 micrometer程度の厚さをもつものまで含まれること、さらに私たちのVISIWAVE (Terumo, Tokyo, Japan)を用いた基礎的検討において、このIVUS system解像度が69+/-6micrometerであることも報告した。冠動脈内の血液を置換する必要がなく、継続的に冠動脈病変を暗殺可能なIVUS systemによるintegrated backscatter IVUS (IB-IVUS) systemを用い、今回OCTで検出されたTCFAをVISIWAVE IB-IVUS systemをで十分な信頼度で検知できるか、さらにIB-IVUSにより定義されたTCFAは、OCTによるTCFAと同様、現在臨床的に大きな問題になっているPCI周術期の心筋梗塞(PMI)の発生に関連するかを検討した。
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