急性冠症候群(ACS) の主因は、冠動脈粥腫の破綻とそれに伴う血栓形成であるとされているが、逆に冠動脈粥腫の破綻が必ずしもACSを発症するわけではない。本研究ではACSを発症する粥腫の破綻と発症しない破綻との間でどのような違いがあるのかを検討した。3D血管内エコー法による検討により、血管長軸に沿って長細く広がり、かつ末梢側に線維性被膜の断端が残存する破綻であるほどACSが発症しやすいことがわかった。流体力学的シミュレーションの結果、そのような破綻は、そうでない破綻に比し、有意に血流の乱れが生じ、引き続いて起こる血栓形成が形状的にも流体力学的にもより起こりやすい可能性があることが示唆された。
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