• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

過剰な食塩摂取による脳梗塞病態増悪の機序に関する実験的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25461098
研究種目

基盤研究(C)

研究機関独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター(臨床研究部)

研究代表者

八尾 博史  独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター(臨床研究部), 臨床研究部, 生化学研究室長 (20265010)

研究分担者 並河 徹  島根大学, 医学部, 教授 (50180534)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード食塩 / 高血圧自然発症ラット / 脳梗塞 / 中大脳動脈閉塞 / 脳血流 / 血液脳関門
研究概要

8週齢の雄性高血圧自然発症ラット(SHR/Izm)を日本SLCより購入し、食塩負荷群には生理食塩水(0.9% NaCl)を飲料水として14日間摂取させた。3ヶ月齢の時点でphotothrombosisにより血栓性に遠位部中大脳動脈を閉塞し、中大脳動脈閉塞後の脳血流減少の程度と脳梗塞容積に及ぼす過剰な食塩摂取の影響および中大脳動脈閉塞後の血液脳関門破綻の程度に及ぼす食塩負荷の悪影響の可能性についてSELDI-TOF-MS/プロテインチップにより検討した。通常のSHRではいわゆる食塩感受性(食塩負荷による血圧上昇)はないことが知られており、本実験でも食塩負荷による血圧変動はなかった。食塩負荷群では、脳血流は前値の20±4%まで減少し、対照群の38±14%と比較し有意に低値であった。脳梗塞容積も食塩負荷群で有意に増大した(112±27 mm3 vs. 77±12 mm3)。一方、血液脳関門破綻の指標としての脳アルブミンとヘモグロビンは両群間で差はなかった。したがって、中大脳動脈閉塞前の過剰な食塩摂取による脳梗塞の増大の機序はおそらく側副血行路の機能障害による虚血レベルの増悪が主因であると考えられた。
次に、脳血流自動調節能の下限域に関する実験を行ったが、脱血による10 mmHg毎の血圧低下に対する脳血流現象の程度には両群間で有意差はなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成25年度は、中大脳動脈閉塞後の脳血流減少の程度と脳梗塞容積に及ぼす過剰な食塩摂取の影響および脳血流自動調節能の下限域に関する実験まで行う予定であったが、次年度予定の中大脳動脈閉塞後の血液脳関門破綻の程度に及ぼす食塩負荷の悪影響の可能性についてSELDI-TOF-MS/プロテインチップにより検討するところも終了した。
ここまでの成果により平成26年2月のInternational Stroke Conferenceにおいて"Excess salt increases infarct size produced by photothrombotic distal middle cerebral artery occlusion without increaseing bolld pressure in spontaneously hypertensive rats"の演題で発表することができた。平成26年度中に関連する論文を1編出版しようと考えている。

今後の研究の推進方策

正常血圧ラット(ウイスター京都ラット)を用いて食塩負荷の脳梗塞容積に及ぼす影響について検討する。さらに平成25年度の実験で示された過剰な食塩負荷による側副血行路の機能障害について、より詳細な病態や機序について事件を行う。具体的には墨汁とラテックス混合物を経心的に血管内に注入し側副血行路を可視化することにより、食塩負荷による側副血行路の状態を評価する予定である。
また、これまでの実験は食塩負荷を水とともに与える(0.9%食塩水として)ことで行ってきたが、エサの塩分濃度を増加させる(4%)方法との比較も興味深いと考えている。
脳卒中易発症高血圧自然発症ラットの脳卒中発症を規定する主な定量的形質遺伝子座2つを高血圧自然発症ラットに移したコンジェニックラットが確立しているので、今後の検討により、この2つの遺伝的素因が食塩負荷による虚血病態の増悪に関与する可能性が示唆された場合にはこのコンジェニックラットを用いた実験も行う。

次年度の研究費の使用計画

ほぼ計画通りに予算を消化したが、約2万円の未使用分が発生した。
平成26年度の予算に上記20,686円を加えて、研究計画にそって実験を行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Excess salt increases infarct size produced by photothrombotic distal middle cerebral artery occlusion without increaseing bolld pressure in spontaneously hypertensive rats2014

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Yao, Toru Nabika
    • 学会等名
      International Stroke Conference 2014
    • 発表場所
      San Diego, USA
    • 年月日
      20140212-20140214

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi