研究課題
私達は、低出力の衝撃波を用いた新しい血管新生療法(「低出力体外衝撃波治療」)を開発し、重症狭心症患者や下肢閉塞性動脈硬化症患者における有効性および安全性を報告してきた。さらに、ブタ急性心筋梗塞モデルにおいて、心筋梗塞急性期の低出力体外衝撃波治療が、慢性期の左室リモデリング(心不全増悪)を抑制することを明らかにしてきた。しかし、その効果は、当初想定していた血管新生作用のみでは説明し切れないことから、衝撃波治療が抗炎症作用ももたらす可能性に着目して、検討をおこなっている。ラット急性心筋梗塞モデルを作成し、無作為に、衝撃波治療群と対象群に振り分けた。治療群では、心筋梗塞翌日から隔日で3回、衝撃波治療をおこなった。週1回心エコー検査をおこない、心機能の経過を追ったところ、衝撃波治療群では、対象群に比して、左室リモデリングが軽減していることを確認した。それに加えて、衝撃波治療群では、炎症細胞浸潤が抑制されていることも明らかになった。今後、低出力体外衝撃波治療による心不全抑制効果や抗炎症効果の機序をさらに検討する。これらの点を明らかにすることは、急性心筋梗塞患者の心不全増悪を予防する治療ストラテジーを考える上で、有用と考えられる。
2: おおむね順調に進展している
ラット急性心筋梗塞モデルにおいて、心筋梗塞急性期に低出力体外衝撃波治療を施行すると、左室リモデリングが軽減されることを確認した。そして、衝撃波治療により炎症細胞浸潤も軽減されることを明らかにし、論文報告した。さらに、詳細な機序を検討中である。上記のとおり、おおむね順調に進展しているといえる。
ラット急性心筋梗塞モデルや細胞を用いた実験により、低出力体外衝撃波治療が急性心筋梗塞後の左室リモデリングを抑制する機序について、さらに検討を加える。
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