研究課題/領域番号 |
25461100
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
福本 義弘 久留米大学, 医学部, 教授 (70363372)
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研究分担者 |
下川 宏明 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00235681)
佐藤 公雄 東北大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80436120)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 右心不全 / 右室線維化 / Rhoキナーゼ / 内皮型一酸化窒素合成酵素 |
研究実績の概要 |
本研究では、進展メカニズムに不明な点が多い右心不全に焦点を当て、これまで我々が行ってきたコラーゲン代謝/Rhoキナーゼ経路が右心不全の進展に関与しているかどうか、検討している。 まず、2種類の遺伝子改変マウス(内皮型NO合成酵素欠損(eNOS-/-)マウスおよびコラーゲン融解酵素抵抗性(ColR/R)マウス)を用いて、3週間の低酸素暴露により肺高血圧を作成し、右心負荷を検討した。3週間の低酸素暴露では、eNOS-/-マウスではワイルドタイプ(WT)と比べ、右室収縮期圧および拡張末期圧が有意に上昇していたが、ColR/RマウスではWTと同等であった。組織学的検討をしたところ、eNOS-/-低酸素マウスでは冠動脈周囲の炎症細胞浸潤および線維化が有意に増悪していたが、ColR/R低酸素マウスではそれらの異常所見は認めなかった。電子顕微鏡を用いたautophagyには有意差を認めなかった。 次に、ヒトの検討として、肺高血圧症に伴う右心不全で死亡した6名と、年齢性別をマッチさせた非心疾患死3名(コントロール)の右室剖検サンプルを用いて、その機序を検討した結果、右心不全を呈している右室では、右室肥大、間質および冠動脈周囲の著明な線維化、右室毛細血管の減少、マクロファージの増加を認め、さらにマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-2の発現およびRhoキナーゼ活性が亢進していることが明らかとなった。その一方、MMP-9およびRhoキナーゼの発現はコントロールと同等であった。 以上を受け、右心負荷患者の右室中隔からの心筋生検サンプルの線維化を指標に、予後を追跡中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2種類の遺伝子改変マウスを用いた実験およびヒトの右心室サンプルを用いた検討はほぼ終了している。 現在、右室線維化を指標に予後を追跡している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、臨床研究を継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2種類の遺伝子改変マウスを用いた実験及びヒトの右心室サンプルを用いた検討がほぼ終了したことに伴い、物品費、その他の費用の使用について多少の差額が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
予後の検討を行うにあたり必要な物品費、学会等でのこれらの検討に必要な情報収集等に加算して使用する予定である。
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