研究課題
心臓への血行動態的な負荷は、心筋細胞の肥大、線維化、細胞外マトリックスの産生増加を特徴とする「病的心臓リモデリング」を引き起こし、やがて非代償性の心不全へと進展する。心不全への進行に伴って、脂肪酸から糖へと心筋エネルギー基質が変換することは古くから知られているが、その分子メカニズムは不明である。本研究では、TGF-bやBMP7によって惹起される経路は、ATP枯渇や低酸素によるHypoxia-inducible factor 1a の発現誘導を修飾し、糖代謝依存へと移行させるとの仮説を検証する。また、心不全への進行における、心筋細胞および血管内皮細胞でのTGF-bシグナルの役割の相違をそれぞれの細胞特異的な欠損マウスを用いて解析する。心筋細胞特異的TGFb受容体欠損マウスではストレスに対して耐性があり、そのエネルギー基質の変換が抑制されていた。一方、線維芽細胞特異的受容体欠損では、線維化が抑えられる一方、心機能の低下度は変わらず、エネルギー代謝も変化がなかった。しかしながら、冠動脈内膜の増殖を合併しており、虚血の影響も考えられた。内皮特異的受容体欠損を今後詳細に検討する予定である。
3: やや遅れている
内皮細胞特異的Creマウスでの遺伝子欠失効果の評価が不十分であり、確認作業に時間がかかっている。現在LacZマウスとの掛け合わせにより、評価を行う予定であり、マウスは作出ずみである。
Creマウスの細胞特異性を再度確認し、予定通り実験を進めていく
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