研究課題
平成26年度の研究は、生体におけるAK141659(AK)の機能解析を主に行った。TACモデルにおいてAKと近傍の遺伝子のSap30とHmgb2の心臓の発現解析の結果、AKは術後3日にsham群と比べ明らかなmRNA発現の上昇を認めた。一方、Hmgb2は、術後3日にmRNA発現変化を認めず、術後3、7日にタンパクレベルの軽度上昇を認めた。Sap30についてはいずれも変化を認めなかった。TAC術後早期にAKがHmgb2の発現に関与している可能性が示唆されるため、AK欠損マウスを用いてTAC術後3、7日にHmgb2の発現解析を行った。TAC術後3、7日のAK欠損マウスの心臓におけるHmgb2のmRNA及びタンパクレベルは野生型と比べ明らかな差を認めなかった。また、Hmgb2の3’側非翻訳領域をルシェラーゼ遺伝子下流に挿入したレポータープラスミドを用いたC2C12細胞株の培養実験におけるルシフェラーゼ活性解析では、Hmgb2はmicroRNA X (miR-X)の標的遺伝子であることを認め、さらにmiR-Xを強制発現した条件下においてAKの強制発現を行った結果、ルシフェラーゼ活性の増加を認めた。逆にAKのknockdownでは、ルシフェラーゼ活性の低下を認め、AKがmiR-Xを介してHmgb2の翻訳効率の調節作用に関わる可能性が示唆された。TACモデルにおいてAKがmiR-Xを介してHmgb2の関与を認めなかったが、培養実験においては示唆される所見がえられた。このことより、心筋組織においてAKだけでなくmiR-Xの発現量によりHmgb2のタンパク発現制御の可能性が示唆された。
3: やや遅れている
マウスの産仔数が予想よりも少なかったため、実験に必要な匹数が足りず、解析時期に遅れが生じている。今年度の初めには、それらの解析を行う予定である。それ以外については予定通りに進んでいる。
平成27年度については、平成26年度の結果に基づいて研究を進め、当初の計画通りである。主な研究としては、全身AK141659強制発現マウスおよび誘導型心筋特異的AK141659発現マウスの表現型およびTACモデルにおける表現型解析、網羅的解析よるAK141659と相互作用する分子同定および解析を計画している。また、AK141659のヒトのホモログ検索を行う。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件)
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