研究概要 |
腎不全患者の主な死因は心血管疾患であり「心腎連関」として病態解明と治療法の開発が望まれている。我々はマウス腎機能障害合併心血管疾患(心腎連関)モデルの開発に初めて成功した。本研究では、腎機能障害が循環器疾患にどのように影響するかを、新しい心腎連関動物実験モデルを用いて検討し病態を解明することが目的である。 マウスを全身麻酔下にて開腹し、左腎動脈の上および下枝を結紮し、中枝からの血流のみを維持した。1週間後に再度開腹し、左腎の2/3の虚血が確認できた個体の右腎臓を摘出し、5/6腎臓摘出を完了した。術後4週間血清クレアチニン値と尿タンパクをモニターし、腎機能障害が出現した事を確認した。 初年度は、この状態においてレニンアンジオテンシン系阻害剤がどのように影響しているかを解明して報告した(Ogawa M, Suzuki J et al. Immun Endoc Metab Agents in Med Chem 13(3): 176-184, 2013)。さらに、歯周病菌感染による全身性の慢性炎症が腎不全を悪化する事を証明した(Ashigaki N, Suzuki J et al. Immun Endoc Metab Agents in Med Chem 13(3): 206-213: 2013)。 さらに、平行して臨床研究を進めており、腎不全患者における脳梗塞の発症誘発因子として、ある種の歯周病菌感染がひとつの要因となっている事を証明し、論文として報告した(Murakami M, Suzuki J, et al. BMC Infect Dis. 13(1): 557, 2013)。
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