研究課題/領域番号 |
25461123
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 優子 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (20345812)
|
研究分担者 |
浦野 哲盟 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50193967)
佐野 秀人 浜松医科大学, 医学部, 助教 (80623842)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 血管内皮細胞 / 線溶活性 / 組織型プラスミノゲンアクチベーター / 定量解析 / 蛍光顕微鏡 / 可視化解析 |
研究実績の概要 |
血管内線溶反応の開始因子である組織型プラスミノゲンアクチベーター(tPA)は血管内皮細胞から分泌される。これまでに培養血管内皮細胞を用いて緑色蛍光タンパク(GFP)融合tPA(tPA)の分泌動態をリアルタイムに可視化することにより、分泌後のtPAは細胞表面に滞留して効果的にtPA活性を発現し、細胞上に作成したフィブリンの分解を促進することを明らかにしてきた。 本研究では血管内皮細胞による内因性線溶活性発現増強機構を解明するにあたり、25年度はtPAの糖鎖と分泌様式、活性発現との関連に関して研究をすすめた。26年度は血栓溶解薬としてすでに臨床応用されている変異型tPAとしてtenecteplase(TNK-tPA; 103N/ N117Q/ K296A/ H297A/ R298A/ R299A)の解析を進めたところ、①GFP融合TNK-tPA(TNK-tPA-GFP)は、細胞内分泌顆粒から分泌される際に細胞表面での滞留度が野生型に比し減弱していること、②培養上清の検討において、野生型ではtPAの主要インヒビターであるPAI-1との複合体でのみ検出できるのに対し、遊離型TNK-tPA-GFPとして検出できること、③野生型に比し、内皮細胞上に作成したフィブリンクロット溶解時間は短縮する一方で、細胞表面標識プラスミノゲン集積ならびに発色基質による内皮細胞由来プラスミン生成率が減弱することなどが明らかとなった。これらの研究成果は現在論文にまとめ投稿中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たなtPAの細胞表面滞留に関与する要因が明らかとなり、細胞表面プラスミノゲン活性化能の定量解析とあわせてまとめることができ、順調な進行状況と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の目的どおり、最終年度では血液成分や流速存在下などより生体に近い状態での評価をすすめ、線溶調節機構の解明を通して血栓症予防の可能性につなげる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
消耗品での必要額が計画した額よりも少額であった。
|
次年度使用額の使用計画 |
最終年度では顕微鏡周辺機器の購入を考慮しており、次年度使用額とあわせ必要となる見込みである。
|