研究実績の概要 |
血管内皮細胞から分泌される組織型プラスミノゲンアクチベータ(tPA)により、血管内線溶反応は開始され生じた血栓が溶解される。これまでに培養血管内皮細胞からのtPA分泌活性発現を全反射/共焦点蛍光顕微鏡によりリアルタイムに可視化解析をし、内皮分泌tPAの活性発現特性を報告してきた。 本研究ではtPAの活性発現に重要な膜表面滞留に関わる要因を明らかにするとともに、tPA分泌顆粒の刺激に応じた調節性開口放出機構の解明をすすめることを目的とした。25年度はtPAの糖鎖と分泌様式、活性発現との関連に関して研究をすすめ、26~27年度にかけて血栓溶解薬としてすでに臨床応用されている変異型tPAとしてtenecteplaseの分子特性を細胞表面との相互作用と酵素活性発現の側面より解析し、その研究成果を報告した(Suzuki Y, Sano H, Tomczyk M, Brzoska T and Urano T. (2016), Activities of wild-type and variant tissue-type plasminogen activators retained on vascular endothelial cells. FEBS Open Bio. doi:10.1002/2211-5463.12057)。さらに、27年度は流れずり応力刺激によるtPA分泌調節に関する検討とヒト血漿を用いて作成した血栓の溶解過程の可視化解析をすすめ、より生理的な環境下での血栓形成溶解反応の検証をすすめた。
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