研究課題
本研究では、塩化カルシウム局所投与法によるマウスの大動脈瘤形成モデルにおいて、Osteoprotegerin (OPG)遺伝子欠失によって動脈瘤の形成が著しく増悪し、塩化カルシウム局所投与後6週後には、中膜の弾性線維が完全に崩壊することを見いだした。野生型マウスにおいて大動脈瘤の形成にともなってOPG 遺伝子発現が増大する所見と合わせて、OPG が瘤形成に抑制的に作用している可能性が示唆された。OPG は骨代謝において Receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand (RANKL)/ RANK 系の抑制因子として発見された。OPG は、Tumor necrosis factor-related apoptosis-inducing ligand (Trail)とその受容体の系をブロックすることが知られているが、大動脈瘤の形成にともなって Trail の発現は増加し、特にOPG 欠失マウスにおいて著増することが明らかとなった。血管平滑筋細胞を用いた実験によって、Trailが Jun Kinase シグナル系の活性化を介して、中膜弾性線維を分解する Matrix Metalloproteinase 9 の発現を亢進させること、それをOPG がブロックすることを見いだした。更に Trailは、Trail自身の発現を亢進させ、同様に OPG により抑制されることから、Trailと OPGのバランスが大動脈瘤形成に大きな役割を持つことが示唆された。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
PLoS One.
巻: 11 ページ: e0147088
10.1371/journal.pone.0147088.