研究課題/領域番号 |
25461133
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
入田 純 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (00423442)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | オステオポンチン / 動脈硬化 / プラーク破裂 |
研究概要 |
アテローム血栓性脳梗塞の一部は、動脈硬化プラークの破綻と血栓形成を引き金に発症すると考えられている。細胞増殖、細胞浸潤やアポトーシスなど多彩な機能を有する炎症性サイトカイン・オステオポンチン(OPN)は、血液凝固系の活性化や組織炎症を引き起こす。またOPNは組織内でトロンビンによって切断され、切断OPN(N-Half OPN)もまた生理活性を有し、強力な炎症作用を発揮する。これら一連の病態において、トロンビンにて活性化されたN-half OPNが、様々な機能を発揮している可能性が考えられる。本研究において、動脈硬化プラーク破綻におけるOPN及びN-Half OPNの役割とその抑制効果を明らかにすることである。 生後9週齢のApoE KO、ApoE/OPN DKOマウスの総頸動脈の分岐部直下を結紮4週後、結紮した総頸動脈の近位部に内径0.58 mm、長さ2 mmのポリエチレンカフを留置することで、プラーク破綻モデルを作成した。 結果、ポリエチレンカフ留置後7日目において、ApoE KOマウスでは新生内膜の増殖と高率にプラーク破綻を認めた。一方でApoE/OPN DKOマウスでは新生内膜増殖とプラーク破綻が抑制される傾向にあった。またoil red O染色による脂肪染色、F4/80抗体を用いたマクロファージの免疫染色について、AopE KOマウスではその脂肪染色領域の増加とマクロファージ発現が増加するのに対して、ApoE/OPN DKOマウスでは、それらが抑制されていた。 今後は、不安定プラーク内で脆弱な新生血管からの微小出血によってトロンビンが活性化され、トロンビンにより組織OPNが切断された結果発現したN-Half OPNが、プラーク内で炎症、アポトーシス、酸化ストレスなどを惹起しプラーク破綻を引き起こす可能性について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動脈硬化プラーク破裂モデルの作製は順調であり、現在そのモデルから得た大動脈を用いて、様々な解析を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
(OPN/ApoE double KOマウスを用いたプラーク破綻モデルの組織学的検討とN-Half OPN抗体投与効果の検討)カフ留置直前、カフ留置4日後、7日後のApoE KO、ApoE/OPN double KOマウス、ApoE KOマウス/N-Half OPN抗体投与マウス(400μg腹腔内投与)に麻酔を行った後、4%パラホルムアルデヒドで還流固定する。摘出した総頸動脈を用いて以下の項目を評価する。 1.プラーク破綻、脂肪沈着:HE染色、Oil red O染色により、プラーク破綻率、脂肪沈着を評価する。 2.酸化ストレス:組織内のO2-の産生をジヒドロエチジウム染色により評価する。 3.炎症性サイトカイン、ケモカイン、MMPsの産生:蛋白後、炎症性サイトカイン(OPN、N-Half OPN、IL-6など)、ケモカイン(MCP-1)、MMPs(MMP-2、MMP-9など)のmRNA及び蛋白発現をそれぞれreal-time PCRとWestern blot法によって検出、定量評価する。 4.免疫組織化学染色による評価:プラーク内における血管平滑筋細胞とマクロファージは、それぞれα-SMA抗体、CD68抗体を用いて同定する。また炎症性サイトカイン(OPN、N-Half OPN、IL-6 など)、ケモカイン(MCP-1)、MMPs(MMP-2、MMP-9など)の局在をそれぞれの特異抗体を用いて評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は動脈硬化プラーク破裂モデルの作製が主となり、そのサンプルの解析を開始したところで、今後抗体やELISA等の試薬の購入が必要となる。 実験用動物・飼料 20万円、分子生物学的試薬類 80万円、抗体・サイトカイン定量キット 30万円、プラスティック器具 10万円、ガラス器具 10万円、計 150万円
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