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2015 年度 実施状況報告書

肺動脈性肺高血圧症患者試料を用いたBMPR2遺伝子のエピジェネティクス制御の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25461139
研究機関杏林大学

研究代表者

佐藤 徹  杏林大学, 医学部, 教授 (20170764)

研究分担者 蒲生 忍  杏林大学, 保健学部, 教授 (90122308)
吉野 秀朗  杏林大学, 医学部, 教授 (90129734)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード遺伝子解析
研究実績の概要

肺動脈性肺高血圧症(PAH)は生命予後不良の難治性疾患であり、BMPR2遺伝子の変異が発症に関与することが報告されている。しかし、PAHの臨床上、極めて重要な課題として、BMPR2遺伝子変異が存在しても発症しない人がいる一方、BMPR2遺伝子変異が存在しないのに発症する人もおり、そのメカニズムが全く不明であることが挙げられる。また、血縁親族にPAH患者が存在し自身がBMPR2遺伝子変異を持つがPAHを発症していない人では、今後自身が発症する可能性があるのか、なぜ発症していないのか、等の疑問が生じ、結婚や子供などの人生設計へも強く影響する。遺伝子異常の検査が多くの施設で可能となりつつある昨今では、BMPR2遺伝子変異の有無を検査することはそれほど困難ではないが、それゆえ、患者およびその家族は、遺伝子変異の検査結果に左右され、精神的にも人生設計の面でも、多くの影響を受ける可能性がある。一方、BMPR2遺伝子に変異が見られない場合でも発現量が減少している例が存在する。さらにPAHが女性に偏って発症し、変異を持ちながら未発症な者は男性が多いなど、epigeneticな修飾による制御が関与することを強く示唆する。よって、epigeneticな修飾によるPAH発症制御の有無を解明し、BMPR2のPAHに対する作用の全容を解明することは、極めて重要かつ急務な課題である。本研究の実績としては、未発症者を含めた患者の末梢血、剖検組織等を試料に、BMPR2遺伝子の転写制御領域のメチル化やnon-coding RNA、特にlincRNAによるepigeneticな発現または機能抑制の可能性を検討し、メチル化によるBMPR2発現抑制や、ある重要なlincRNAがepigeneticにPAH発症を制御している可能性を突き止めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

BMPR2遺伝子の転写制御領域のメチル化やnon-coding RNA、特にlincRNAによるepigeneticな発現または機能抑制の可能性を検討することは当初の計画通りに進行している。一方、選択的スプライシングによる優性阻害dominant negativeとなりシグナル伝達が抑制する可能性の検討を当初計画していたが、そちらについては、今年度中に結果が出る見込みであり、一部計画がわずかに計画通りに進捗してはいない。

今後の研究の推進方策

BMPR2遺伝子のメチル化解析の結果をより多角的に掘り下げて検証する。また、lincRNAによるepigeneticな機能制御がどのようなメカニズムにてPAHで起こっているかをより詳細に検討する。さらに、選択的スプライシングによる優性阻害dominant negativeとなりシグナル伝達が抑制する可能性の検討については、今年度中に結果をまとめる予定である。

次年度使用額が生じた理由

選択的スプライシングによる優性阻害dominant negativeとなりシグナル伝達が抑制する可能性について現在進行中であり、今年度中には結果と解析をまとめる予定であるが、一部実験を今年度に繰り越して実施する必要があるため。

次年度使用額の使用計画

選択的スプライシングの解析費用や試薬等の実験に必要な実費・物品費として使用の予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] De novo mutations in the BMPR2 gene in patients with heritable pulmonary arterial hypertension.2015

    • 著者名/発表者名
      Momose Y, Aimi Y, Hirayama T, Kataoka M, Ono M, Yoshino H, Satoh T, Gamou S.
    • 雑誌名

      Ann Hum Genet

      巻: 79 ページ: 85-91

    • DOI

      10.1111/ahg.12096.

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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