研究課題
慢性腎不全 (CKD)患者では、末期腎不全に陥る頻度よりも、心血管疾患で死亡する率が高い。血管石灰化と内皮機能障害はCKD患者における血管障害の特徴だが、メカニズムは不明である。アテローム硬化型の血管石灰化では、血管平滑筋細胞の骨芽様細胞への形質転換の制御機構において、骨形成蛋白質であるBone Morphogenetic Protein (BMP)/Smadシグナリングの関与が報告されている。さらに最近、申請者は内皮細胞において、CKD患者の血清が、BMP/Smadシグナリングを活性化させることを見出した。本研究では、BMP/Smad経路がCKDの血管石灰化と内皮機能障害の共通した重要な制御メカニズムであることを明らかにし、CKDの二大合併症を同時に予防、治療するターゲットを明らかにすることを目指した。BMPRIA阻害剤投与による血管石灰化の予防について検討した。腎不全マウスにおいてLDN-193189 3mg/kg 1日2回を腹腔投与した。BMPRIA阻害剤を投与しない腎不全マウスでは、血管壁におけるアルカリフォスファターゼやMsxの転写因子が上昇しており、osteogenic differentiationが見られた。しかし、BMPRIA阻害剤を投与た腎不全マウスでは、osteogenic differentiationが抑制されており、BMPRIA阻害剤投与による血管石灰化の予防効果があると考えられた。さらに、腎不全に伴う血管石灰化を早期に発見し治療介入するために、バイオマーカーについても検討した。血管石灰化が見られるヒトと見られないヒトの血液において、micro RNAの発現量の違いがあるか解析した。
すべて 2017
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Heart and Vessels
巻: 1 ページ: -
10.1007/s00380-017-0947-x