研究課題/領域番号 |
25461141
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
上原 吉就 福岡大学, 医学部, 講師 (70373149)
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研究分担者 |
朔 啓二郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40183371)
松永 洋一 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (80239053)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ペプチド / アポリポ蛋白 / 高比重リポ蛋白 / 動脈硬化 / 遺伝子導入 |
研究概要 |
HDL 様物質を直接補充する HDL 治療では,リン脂質の毒性や効果の問題を抱えている.すでに生体内で HDL を自己形成する新規のペプチドの開発に成功している.より強力でかつ生理的なペプチドの開発が望まれており, in vitro および in vivo においてその更なる開発を遂行する.また,生体内で HDL を自己形成しさらに遺伝子導入可能なペプチドの開発を行うことにより動脈硬化性疾患に対する次世代のペプチド治療の提唱とその確立を期待している. 平成25年度では,まず自動ペプチド合成装置を用いて既開発の iCE ペプチド (FAMP5:H-ALE HLF TLY EKA LKA LED LLK KLL -OH) の大量合成,精製を行っている.In vivo における検討において,C57BL6, ApoE-/-マウスを用いて,高脂肪食負荷後,4ヶ月間の FAMP 治療によって有意な大動脈プラークの退縮作用を確認できた.cITP電気泳動法,FPLC 法, HPLC 法,アガロース電気泳動法にて脂質プロファイルを測定した結果,HDLコレステロール値の上昇作用は認めていないが,より小型のプレβHDL粒子が有意な増加を認めていた. 一方,健常者血漿サンプルを用いて,iCE ペプチドと in vitroインキュベーション前後の脂質プロファイル解析( FPLC 法,HPLC 法,キャピラリー等速電気泳動法を用いる)および マクロファージにおける ex vivo cholesterol efflux を測定し,脂質プロファイル・HDL 機能改善作用が認められた.既開発品 iCE ペプチド (FAMP) と比較して,より強力な HDL 新生作用・ABCA1 特異性を持つ新たな iCEペプチドの開発を試みている.前述した C 末端にリジンを配置し,リジン側鎖にも同アミノ酸を繋げた N 末端を2つ持つ自然界には存在しないタイプのペプチドの開発を進め,本方法にて暫定的に作製した 48アミノ酸残基からなる iCE ペプチド と比較してコレステロール引抜き作用は同等であるが,ABCA1 特異性の有意に高いFAMP-DUOペプチドを新規に開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vivo によるiCEペプチドの抗動脈硬化作用は概ね順調に研究遂行できている.また,ABCA1特異性の高いFAMP-DUOペプチドの開発にも成功しており,初年度の予定していた主要研究は概ね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
H26年度に予定している遺伝子導入可能なペプチド開発も前倒しにH25から行っているが,未だ良好な成績が得られていない.当初の予定の通りH26年度も継続してこのペプチド開発を進めて行く.
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