研究課題
新規の抗動脈硬化治療戦略として,本研究ではHDL の機能増強を期待した動脈硬化疾患の新規治療戦略の構築とその臨床応用を主目的としている.HDL 様物質を直接補充する HDL 治療では,リン脂質の毒性や効果の問題を抱えているが,すでに生体内において HDL を自己形成する新規のペプチドの開発に成功した.より強力でかつ生理的なペプチドの開発が望まれており, in vitro および in vivo においてその更なる開発を遂行する.また,生体内で HDL を自己形成しさらに遺伝子導入可能なペプチドの開発を行うことにより動脈硬化性疾患に対する次世代のペプチド治療の提唱とその確立を期待している.平成25年度では,自動ペプチド合成装置を用いて既開発の iCE ペプチド (FAMP5:H-ALE HLF TLY EKA LKA LED LLK KLL -OH) の大量合成,精製を行っている.既開発品 iCE ペプチド (FAMP) と比較して,より強力な HDL 新生作用・ABCA1 特異性を持つ新たな iCEペプチドの開発を試みおり,H26年度も引き続き行っている.また,C 末端にリジンを配置し,リジン側鎖にも同アミノ酸を繋げた N 末端を2つ持つ自然界には存在しないタイプのペプチドの開発を進め,本方法にて暫定的に作製した 48アミノ酸残基からなる iCE ペプチド と比較してコレステロール引抜き作用は同等であるが,ABCA1 特異性の有意に高いFAMP-DUOペプチドを新規に開発した.H26年度はさらにこのFAMP5ペプチドを用いてin vitroにてluciferase レポーターベクターとのコンプレックスをCOS,CHO,HEK細胞とインキュベーションを行い,一定量の遺伝子導入作用が認められたが,導入効率が依然として低くin vivoにおいて遺伝子導入の確認は現段階では不可能である.なかでも新規に開発しているFAMP-DUOペプチドのin vitroにおける導入効率は高く,H27年度以降のin vivoにおける遺伝子導入作用に期待される.
3: やや遅れている
in vitroにおける遺伝子導入可能なペプチドの開発は成功しているが,導入効率が低くin vivoでの遺伝子導入が確認出来ていない.
in vitroにおける更なる導入効率の高い新たなペプチドの開発とそれに平行して現ペプチドにおける遺伝子導入条件の更なる検討を進めていく.
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 1件)
Circ J.
巻: 78 ページ: 2955-62
Arterioscler Thromb Vasc Biol
巻: 10 ページ: 2246-53.
10.1161/ATVBAHA.114.303715.
World J Cardiol
巻: 6 ページ: 1049-1059.
10.4330/wjc.v6.i10.1049.
IJC Heart & Vessels
巻: 4 ページ: 135-137.
10.1016/j.ijchv.2014.05.005
IJC Metabolic & Endocrine
巻: 5 ページ: 70-72
The Lipid
巻: 25 ページ: 86-94
J-ISCP 会誌「心血管薬物療法」
巻: 2 ページ: 3-8