研究課題
新規の抗動脈硬化治療戦略として,HDLを標的とした治療が注目されている.HDL 様物質を直接補充するHDL治療では,リン脂質の毒性や効果の問題を抱えるため,生体内においてHDLを自己形成する新規ペプチドの開発に成功している.よりユニークなペプチドの開発として,生体内でHDLを自己形成しさらに遺伝子導入可能なペプチドの開発を行うことで動脈硬化性疾患に対する次世代のペプチド治療の提唱とその確立を主目的している.既開発の iCE ペプチド (FAMP5) の大量合成・精製を行い,in vivoにおいて,C57BL6, ApoE-/-マウスを用いて,高脂肪食負荷後,4ヶ月間の FAMP 治療によって有意な大動脈プラーク退縮作用を確認できた.cITP電気泳動法,FPLC 法, HPLC 法,アガロース電気泳動法にて脂質プロファイルを測定した結果,HDLコレステロール値の上昇作用は認めないが,HDL粒子の小型化が有意に認められた.既開発品FAMP5と比較して,より強力なHDL新生作用・ABCA1 特異性を持つ新たな iCEペプチドの開発も継続した.C末端にリジンを配置し,リジン側鎖にも同アミノ酸を繋げた N末端を2つあるいは4つ持つペプチドの開発を進め,本方法にて作製したABCA1 特異性が有意に高い48,96アミノ酸残基からなるFAMP-DUOペプチドおよびFAMP-QUADペプチドを新規に開発した.また,ヒトアポA-Iの221~240アミノ酸と同様のアミノ酸配列を2つもつFAMP type0-221-240 DUOの開発にも成功し,最もABCA1特異性の高いペプチドである事が明らかとなった.これら開発した全てのペプチドを用いてluciferase レポーターベクターとのコンプレックスを培養細胞とインキュベーションを行い,実用性が期待できる有意な遺伝子導入作用が認められた.
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 2件) 備考 (1件)
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