研究課題
FLNA遺伝子は、異所性灰白質の原因遺伝子であるが、胸部大動脈瘤の原因となりうることも報告されている。昨年度までに、若年あるいは家族性大動脈瘤患者のエキソーム解析により、6家系10例にフィラミンAをコードするFLNA遺伝子の新規変異を同定したが、今年度は、さらに62例の家系内発端者を追加解析した。その結果男性1例でFLNA遺伝子のスプライシング変異を検出し、家族解析により母親にも同変異を認めた。その結果、これまでに7家系12例においてFLNA遺伝子変異が同定されている。FLNA遺伝子はX染色体上にあり、X連鎖優性遺伝をするが、12例中6例は男性例であり、いずれも母親より原因変異を引き継いでいた。これらの男性例では、いずれも、エーラスダンロス症候群様の皮膚過伸展や関節過可動性、および高度の僧房弁逸脱・僧房弁閉鎖不全症などの僧房弁異常の合併が特徴であり、うち2例は僧房弁置換術を受けている。また,新たに変異の同定された1例は、高度の上行大動脈瘤にたいし、大動脈基部置換術を受けている。一方、FLNA遺伝子変異の特徴的所見であるperiventricular nodular heterotopia(PVNH)を認めたのは男性6例中2例のみであった。これらの症例の母親4例のうち3例は、臨床的には無症状であり、PVNHも認めなかった。全体としては、3例でクモ膜嚢胞を認めている。しかし、典型的所見といわれるてんかんの既往を認めたのは3例のみであり、精神発達障害は全例で認めなかった。大動脈瘤/拡張は発端者5例(男性3例、女性2例)でみとめ、うち3例は上行大動脈置換術を受けている。その他、6例でヘルニアの既往,2例で腸回転異常を認めている。血小板機能異常による出血傾向や巨大血小板を認めた症例はなかったが、血栓症は3例で認めた。
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