研究課題
本研究の目的は、肺高血圧症(PH)および肺血管病変の程度の評価法として、新しいバイオマーカーを開発し、バイオマーカーの活性に関わる遺伝子多型の関与を明らかにし、肺血管のバイオマーカーと個体要因に基づく個別化医療確立を目指すことである。これまで、ペントラキシン-3(PTX-3)が、CTEPHで高いこと、BNPよりすぐれたPHを識別する指標であることをPLOS oneに報告し、遺伝子多型(rs2305619, rs1840680について、多型ごとに、CTEPHの血行動態や重症度との相関をみたが、有意な相関はなかった。本年は、肺高血圧症モデルであるSu5416/hypoxiaラットの肺・右心・左心でのPTX3蛋白発現についてウェスタンブロット/免疫染色を用いて解析した。結果、同モデルラットにおいて右室心筋での強い発現亢進を認めた。肺高血圧症に伴う右室心筋負荷/炎症病態を反映していることが示唆された。さらに、肺塞栓症急性期に上昇し改善後は正常化するというデータが得られ、急性肺塞栓に伴う右心負荷のバイオマーカーとしても有用と推測される。加えて、fibrinogenp高値、plasminogen亭値群が、手術後遠隔期の原疾患死の指標になることをCir Jに報告した。PETに関しては、肺内集積の定量は困難であったが、腫瘍との鑑別に行った場合、CTEPH でも肺動脈壁で陽性例がみられ、SOVmax4程度の集積がある例があり、2016年日本呼吸器学会で発表した。新しいバイオマーカー開発のため、慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者5名、健常人検体5名の血清についてProtoArray;(Invitrogen社)を用いて血中蛋白の網羅的検討を行い、9375種類の血清蛋白抗体のうち肺に発現が高く、患者で高い抗体63個のペプチドを作成、最終的に4ぺプチドを選択し、現在精製ペプチドを作成中で、今後新規抗体の陽性率、病態との関連、他の肺高血圧症での陽性度等について検討予定である。
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