研究課題/領域番号 |
25461150
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
笠原 靖紀 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (60343092)
|
研究分担者 |
坂尾 誠一郎 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (80431740)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 肺動静脈奇形 / 肺動静脈瘻 / インターベンション / コイル / 遺伝性出血性毛細血管拡張症 |
研究概要 |
本研究では肺動静脈瘻(以下PAVM)のカテーテル治療の評価と改良をおこなった。本年度は8症例9件にコイル塞栓術をおこない、過去にコイル塞栓術をおこなった症例とともにコイル塞栓術の効果を解析した。コイル塞栓術1年以上経過した症例の瘻のサイズの変化と、320列CTによるDynamic 4D-CTにて実際の再疎通の有無を非侵襲的に評価した。対象は当院で1994~2011年にコイル塞栓術を施行し1年以上経過観察した(平均4.8年、範囲1-17年)pAVM24症例29病変。全例塞栓術直後の血管造影にてコイルによる流入血管の閉塞を確認されている。術前の造影CTでの瘻の長径と術後の残存瘻の長径から縮小率を評価した。また320列CTを用い40mlの造影剤を5ml/sで静注しながら、1秒毎に間欠的volume scanを行い、ここから4D画像を作成して再疎通の有無を評価した。瘻の縮小率30%以上は22病変(76%)であったが4DCTで再疎通は15病変(52%)で確認された。瘻が消失していた8例では再疎通を認めなかったが、残存瘻が30%以上縮小した15病変中9病変(60%)に再疎通を認めた。30%未満の縮小率であった6例は全例再疎通を認めた。従来瘻の縮小率が30%以上であれば塞栓成功としていたが、瘻が消失していない病変では長期的に再疎通している可能性があり、完全に塞栓することが必要であると考えられた。またPAVM患者の遺伝子変異については、endoglin(ENG)、activin receptor-like kinase type I (ALK-1/ACVRL1)の遺伝子変異有無を調べ、ENG変異の陽性例を認めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要の通り、1)コイル塞栓術の臨床データの解析に関してはおおむね順調に進んでいる。2)遺伝子研究に関しては、既知の遺伝子変異ではない家族内発症例の症例がまだ集まっておらず、遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後もPAVM患者の血液検体や臨床データの集積をすすめていく。経カテーテル塞栓術前後で、4D-CT、肺動脈造影をおこない肺動静脈瘻の画像解析をおこなう。コイル塞栓術について合理的な塞栓方法(コイル本数やタイプなど)を検討し、新しいデバイスの有効性を調べる。PAVM 患者における既知遺伝子(endoglin、ALK-1、SMAD4)変異の有無を調べる。また未知原因遺伝子変異の有無を明らかにするために、PAVM 患者および対照群のSNPを網羅的に解析する。
|