研究課題/領域番号 |
25461158
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
立原 素子 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40448626)
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研究分担者 |
西村 善博 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (20291453)
小谷 義一 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90403287)
小林 和幸 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50403275)
田村 大介 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (80646597)
永野 達也 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80624684)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アムルビシン / 薬剤耐性 |
研究概要 |
新規抗がん剤であるアムルビシンによる薬剤耐性化機構について解析を行うため、アムルビシンの投与により誘導される遺伝子を網羅的に解析し、候補遺伝子を絞り込む作業を行った。実験にはアムルビシンが生体内でカルボニルレダクターゼにより変換され生成される活性代謝物であるアムルビシノールを用いた。まず、非小細胞肺がん細胞株H520および小細胞肺がん株H1688にアムルビシノールの段階希釈液を投与し、腫瘍増殖抑制試験を行い、それぞれの50%発育阻害濃度を求めた。続いてそれぞれの細胞株を50%阻害濃度で24時間暴露したのち、tRNAを回収してcRNAを精製し、CELI社のwhole human genome microarray解析で、数万個の遺伝子の発現を網羅的に解析した。これに引き続いて、Thomson Reuters社が開発したMetaCoreというパスウェイ解析ソフトを使用して、非暴露群に比較して数倍以上の発現の変化が見られた遺伝子の中から、薬剤の代謝、排泄、DNA修復機構、アポトーシス、細胞生存シグナルといった薬剤耐性と関係する分子機構上で作用する遺伝子を絞り込む作業を行った。これにより絞り込まれた遺伝子のvalidationを行うため、半年間かけてstep up法によりアムルビシン耐性肺がん細胞株の樹立に取り組んでいる。このような手法で薬剤耐性や感受性に関わる遺伝子を探索することは他に類がなく、抗がん剤治療の治療効果を予測する新規バイオマーカーの発見として期待される他、既存の抗がん剤をより有効に活用することによる治療成績の向上や、耐性の少ない新規抗がん剤の開発などにも寄与していくことが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アムルビシン耐性遺伝子の網羅的解析は申請書の記載通り終了している。候補遺伝子の評価の為の薬剤耐性株の樹立も半分以上の工程が終了しており、今年度の前半中に評価実験が行える予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在作成中のアムルビシン耐性肺がん細胞株を使用して、候補遺伝子の発現の有無を確認する。続いて、申請書に記載した通り、候補遺伝子をsiRNAなどでノックダウンし、アムルビシンを含めた複数の抗がん剤で候補遺伝子と薬剤感受性の相関関係を調べる。さらに、生体における候補遺伝子と薬剤耐性との関係を調べるため、薬剤耐性株の担がんマウスモデルを作成し、腫瘍増殖抑制試験を行う。同時に候補遺伝子のノックダウンも行い、薬剤感受性との相関関係を調べる。本研究では、最終的にヒト組織検体を用いて候補遺伝子の免疫染色を行い、薬剤感受性との関係も調べていく予定である。そのためにin vitroとin vivoのデータが集積した時点で学内倫理審査委員会に諮り臨床検体を用いた実験に移行していく予定である。
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