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2014 年度 実施状況報告書

アムルビシンによる薬剤耐性化機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 25461158
研究機関神戸大学

研究代表者

立原 素子  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40448626)

研究分担者 西村 善博  神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (20291453)
小谷 義一  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90403287) [辞退]
小林 和幸  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50403275)
田村 大介  神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (80646597)
永野 達也  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80624684)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード国際情報交換
研究実績の概要

当該年度は予定通り、アムルビシンによる肺がんの耐性化の機序を明らかにするため、アムルビシン投与によって誘導される耐性遺伝子を同定し、その遺伝子発現度と抗がん剤治療の臨床的な効果との相関について、下記の解析を行った。すなわち、1) アムルビシン投与により誘導される候補遺伝子の網羅的解析と2) アムルビシン耐性遺伝子の発現と薬剤感受性との相関解析である。まず、肺癌細胞株(DMS-53とH520)を使用して、step wise法にてアムルビシンの濃度を段階的に増加させてアムルビシン耐性株を作成し、total RNAを回収して発現の変化した遺伝子をmicroarrayにより網羅的に解析を行った。その結果、amphiregulinの発現が両細胞株で上昇していることを明らかにした。amphiregulinは上皮系増殖因子で上皮細胞、線維芽細胞、免疫細胞での増殖、アポトーシス、遊走に関わっている。耐性株において、このamphiregulinの遺伝子発現をsiRNAによりノックダウンしたところ、アムルビシンの感受性が回復し、耐性株を培養した培養液を正常細胞株に投与したところ、薬剤の感受性が低下することを確認した。
アムルビシンは日本人のがんによる死亡原因の1位を占める肺がんに対するキードラッグの1つであり、特に肺がんの15%を占める小細胞肺がんのセカンドライン以降の治療においては、従来の抗がん剤より高い抗腫瘍効果が報告されている。しかしながら、進展型小細胞肺がんの生存期間中央値は2012年度のASCOでの報告でも18ヶ月と未だ極めて予後不良の疾患であり、長期生存を妨げている一因として薬剤耐性が考えられる。薬剤耐性の克服は喫緊の課題であると考えられ、今回アムルビシンの耐性に関わる遺伝子の発現を明らかとし、治療標的となり得ることを示した我々の研究は大きな意義を持つ。また、がん患者の生存期間の延長に大きく寄与していくものと期待される重要な結果である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画書に予定していた1)肺癌細胞株におけるアムルビシン耐性遺伝子の発現を網羅的に解析する実験、2)組織型の異なる肺癌細胞株での候補遺伝子の発現をqRT-PCR法により明らかにする実験、3)候補遺伝子の発現量をアムルビシノールで増加させるかsiRNAで減少させて、その発現量の変化が薬剤感受性に与える影響を明らかにする実験は上記研究実績の概要に記載した通り、既に終了している。

今後の研究の推進方策

研究計画書に記載した4)候補遺伝子の発現をsiRNAでノックアウトした細胞株をマウスに皮下移植して担癌マウスモデルを作成してin vivoで候補遺伝子の発現と薬剤感受性と関係を明らかにする実験、5)ヒト癌組織の免疫染色によって候補遺伝子の発現度を評価し、抗癌剤に対する反応性、治療効果との間の相関性を検討する実験を今年度に実施するため、院内の規定の書類を準備している。

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公開日: 2016-05-27  

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