研究課題/領域番号 |
25461159
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
佐野 千晶 島根大学, 医学部, 准教授 (70325059)
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研究分担者 |
多田納 豊 国際医療福祉大学, 薬学部, 講師 (70432614)
礒部 威 島根大学, 医学部, 教授 (70284198)
金廣 優一 島根大学, 医学部, 助教 (60609197)
三浦 聖高 島根大学, 医学部, 助教 (90646986) [辞退]
冨岡 治明 安田女子大学, 看護学部, 教授 (40034045)
吉山 裕規 島根大学, 医学部, 教授 (10253147) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 非結核性抗酸菌 / 漢方薬 / 免疫補助療法 / 感染実験 |
研究実績の概要 |
本年度は,以下の検討を行った。(1) Mycobacterium avium complex(MAC)症 結節・気管支拡張型のモデルマウスを確立させるため,菌液と基質とをあらかじめ混合し,経胸壁より感染させた。その結果,マウス肺内に,ヒトの結節・気管支拡張型肺MAC症と類似した肉下腫病変を形成し,注射部位周辺に感染が拡がり,極小肉芽を形成させることが出来た。更に,臨床分離株のMycobacterium abscessusを用いて,マウスに経胸壁に感染させたところ,臨床での病態に相関した肉下腫病変を形成することが明らかとなった。今までに報告されている経気道やエアロゾルによるMAC感染モデルマウスでは肺野にヒト肺MAC症と類似した肉芽腫が形成されなかったため,局所における肺MAC症の進展メカニズムや治療効果を判定するにあたって,有用なin vivoモデルマウスとなりうると考えられる。 (2)漢方薬と同様な免疫修飾作用を有するATPのMACに対する作用の検討を進め,昨年度に明らかとなったATPのキレート作用は,マクロファージ内MACの増殖阻害に影響がみられた。ATPの鉄キレート作用と併せて,マクロファージ表面のP2 レセプターからのATP刺激シグナル伝達系といった両方の作用から,検討を進めている。(3)ヒトにおける肺MAC症進展の宿主因子ならびに漢方薬の有効性について,ヒト血清を用いてのリゾリン脂質の解析のための準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規な感染方法によるモデルマウスにおける漢方薬の有効性についての実験については一定の成果を得た。ヒト肺Mycobacterium avium complex症の血清を用いてのプロテオミクス解析を進めているが,健常人の血清について,倫理審査,同意書等のクリアすべき審査が煩雑・複雑なため,健常者コントロールサンプルを集めることに,難渋し時間がかかった。また,主たる実験室が,講義棟改築のため機器を移動させたため,一時期実験の遂行が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
確立した肺MAC症モデルマウスを用いて,漢方薬の薬効について検討を進める。肺MAC症増悪の宿主因子について,ヒト血清サンプルを更に集め,血清中のターゲットとしているケモカイン・サイトカイン・転写因子について検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
主たる実験室である島根大学基礎研究棟の耐震のための改修工事が平成25年度に行われたため,実質的に半年以上に亘り実験室が使用出来なかった。仮の実験室で実験は継続したものの,研究計画に遅れを生じた。更に,平成27年度に講義棟の微生物実験室の改修工事が行われ,工事の関係上,機器の移動設置を余儀なくされたため,実験に遅れが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
申請の通り,プロテオミクス解析のための試薬購入,マウスの購入,研究成果の投稿費などに使用を予定している。
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