研究課題
臨床で問題となっている難治性喘息のphenotypeである真菌感作重症喘息(severe asthma with fungal sensitization: SAFS)のモデルマウスを確立し、各種治療戦略の効果を検討した。モデルマウスは4~8週齢の雌性BALB/cマウスを用い、Aspergillus fumigatusからタンパクを分離生成し水酸化アルミニウムと結合させた後、腹腔内へ注射しその2週間後にAspergillus fumigatus生菌を3日間経鼻感染させて作成した。本マウスの肺組織では、好酸球浸潤と杯細胞過形成を伴うアレルギー性気道炎症に加え、好中球浸潤、杯細胞の過形成が強く、粘液分泌がより亢進していることが特徴であり、SAFSの臨床像をよく反映していると考えられた。薬物治療としては、ステロイド、抗真菌薬、両者の併用、マクロライド系抗菌薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を用いた。ダニ感作マウスと比較し、ステロイドによる抗炎症効果は乏しく、特に分泌亢進、好中球性炎症への効果が不十分であった。抗真菌薬は好中球性炎症を抑制した。また、マクロライド系抗菌薬により分泌亢進が抑制され、組織中のムチンコアタンパクであるMUC5ACの産生低下が認められた。LTRAでは明らかな抗炎症効果は認められなかった。さらにin vitroでマウス脾臓から免疫磁気学的に分離した形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid DC: pDC )をAspergillus fumigatusで感作し、本マウスの気道へ投与したところ、好酸球性炎症に加え、好中球性炎症と杯細胞過形成が抑制され、Th1サイトカインは抑制せず、Treg由来の免疫調整性サイトカインであるIL10の産生増加を介して、Th2サイトカインの産生低下が認められ、SAFSに対する樹状細胞ワクチンの効果を支持する結果が得られた。
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