研究課題
Th2型免疫反応は気管支喘息などのアレルギー性炎症において中心的な役割を担っている。しかし、Th2型炎症を採血等で簡便に評価し得るバイオマーカーはこれまでにない。我々は、マウスの研究から、補助シグナル分子CD27陰性CD4陽性T細胞がアレルギー性炎症の新規バイオマーカーと成り得る可能性を見出している。本研究では、気管支喘息症例のバイオマーカーとしてのCD27陰性CD4陽性T細胞の可能性を明らかにすることを目的とした。結果、CD27陰性CD4陽性T細胞分画は、重症度、治療ステップ、Asthma Control Testスコア、呼気中一酸化窒濃度、呼吸機能検査などとの相関を認めなかったが、末梢血液中の1型自然リンパ球(ILC1)、3型自然リンパ球(ILC3)、CD69陽性活性化ILC1、および、CD69陽性活性化ILC3の分画と負の相関を認めた。また、血清中線維化マーカーである血清テネイシンC高値、且つ、血清ペリオスチン低値の症例では、CD27陰性CD4陽性T細胞とILC1、ILC3、CD69陽性活性化ILC1、および、CD69陽性活性化ILC3分画と強い負の相関を認めた。CD27陰性CD4陽性T細胞は、Th2型炎症と相関することが期待されたが、呼気中一酸化窒濃度や好酸球、IgE、ペリオスチン、ILC2などとの相関を認めなかった。しかし、ILC1とILC3とは負の相関を認め、ペリオスチン低値でテネイシンC高値の症例では、さらに強い負の相関を認めたことからは、末梢血液中のCD27陰性CD4陽性T細胞が少ないことと非Th2型炎症に関連がある可能性が考えられた。喘息における、Th2型炎症と非Th2型炎症とそこに関わるCD4陽性T細胞のそれぞれの分画、および、新たに見出された自然リンパ球との関連については、さらなる解析が必要である。
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