研究課題
近年、本邦のみならず世界において気管支喘息を始めとしたアレルギー疾患は増加の一途にあり、その病態解明は大きな課題である。肥満は喘息の重要な増悪因子として指摘されているが、現在までに肥満やメタボリック症候群とアレルギー疾患との関連メカニズムを検討した研究は極めて少ない。そこで肥満や糖尿病を含むメタボリック症候群と喘息との関連のメカニズムを、気道構成細胞に対する影響を含め包括的に検討するため、本研究を計画した。レプチンの添加により、気道上皮細胞株BEAS-2Bの細胞表面ICAM-1発現レベルは増強した。その作用は濃度依存的に増強し、10 μMで最大となった。レプチンによるBEAS-2B細胞表面のICAM-1発現増強作用は、NFkBの阻害薬であるBAY11-7082を添加することで、著明に抑制された。次に、レセプターの発現を解析した。real-time PCRおよびフローサイトメトリーにより、BEAS-2BにOb-Rの発現を認めた。Ob-Rに対するsiRNAをトランスフェクトすると、BEAS-2BのOb-R発現は抑制され、Ob-R siRNAをトランスフェクトした細胞においては、レプチンによるICAM-1 mRNA発現増強作用を認めなかったことより、レプチンはOb-Rを介して、気道上皮細胞のICAM-1発現増強作用を示すことが明らかになった。BEAS-2Bをレプチンで刺激すると、IL-6、CCL11、G-CSF、VEGFの産生が増強し、アポトーシスが抑制された。また、レプチンは正常ヒト気道上皮細胞の遊走能を増強した。肥満による喘息増悪の機序として、レプチンによる気道上皮細胞に対する活性作用が関与する可能性が示唆された。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 図書 (5件)
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