研究実績の概要 |
目的1:血管内皮障害によるCOPDにおける皮下脂肪減少の機序の解明:タバコ煙曝露によるCOPDマウスの皮下脂肪量減少の機序として、MMP-12活性亢進→エンドスタチン増加→VEGF減少→血管量減少→脂肪量減少、を皮下脂肪組織において同定し論文報告した(Tsuji T,et al. Am J Respir Cell Mol Biol 51:822-829, 2014)。エラスターゼ気道内注入によるCOPDモデルマウスの皮下脂肪量減少の機序として、同様に血管新生の低下が関与する事を同定し論文報告を終えた(Tsuji T,et al. Prostaglandins Other Lipid Mediat 112:9-15, 2014)。 目的2:皮下脂肪減少がCOPDの全身併存症の原因となる仮説の証明:エラスターゼ気道内注入によるCOPDマウスにおいて、皮下脂肪量減少とともに、内臓脂肪組織の脂肪細胞のサイズ増加や内臓/皮下脂肪量比の上昇などの異所性脂肪の蓄積、及びインシュリン感受性低下に伴う糖代謝異常を認めた。機序として、血管新生低下に伴う脂肪量減少による皮下脂肪組織のエネルギー貯蔵能力低下を考え、血管新生刺激剤であるEP2受容体作動薬の全身投与が異所性脂肪蓄積及びインシュリン感受性低下を改善することを同定し、論文投稿準備をほぼ完了した。 目的1、2のHumanにおける証明を目的とし、当院倫理委員会の承認のもとCOPD症例10例、非COPD症例10例の皮下及び内臓脂肪組織の集積を完了し、皮下及び内臓脂肪組織の組織切片に対し免疫染色学的検討を行っている。
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