研究課題
基盤研究(C)
今回の研究は、EGFR 遺伝子、ALK 遺伝子、 MET 遺伝子など、 driver gene 変異のある肺癌腫瘍に焦点を当て、同時期に攻撃するセカンドアタックの標的研究という戦略をたて、治癒を目指した研究である。この研究により、今までそれぞれの理由で検討されていない重要な標的(例えば、「cancer stem cell の性格に関連した因子」、「EGFR-RAS 系と別に考えるべき p53 周辺のシグナル関連因子」)に焦点を当て、「driver gene 治療の補助」という新たな役割の視点で、薬効を十分に発揮させることを目的とした研究である。そのため、(1) エピジェネティックな遺伝子異常関連薬剤(HDAC、メチル化関連薬剤)の感受性予測システムの構築、(2) cancer stem cell の性格を有する細胞とp53 関連シグナル修飾に焦点を当てる。(3) エピジェネティックな遺伝子異常制御による間接的標的分子コントロールを利用した新しい併用療法開発システムの構築、(4) driver gene 標的治療との併用療法を中心に模索する、という相で研究を進めている。我々は、EGFR遺伝子変異を有するヒトNSCLCのゲフィチニブ感受性株を解析し、ゲフィチニブ投与によって或る転写因子の発現が抑制されることを見出した。この転写因子は、代謝変化を促すことで、癌が増大するように働く。この発現は、PI3K阻害剤及びmTOR阻害剤でも抑制されたことから、EGFR-PI3K-mTORの経路で誘導されると考えられた。また、アポトーシス抑制因子Mcl-1, Bcl-XL, Bcl-2の発現を誘導することを見いだした。従って、EGFR変異を有するNSCLCでアポトーシスを抑制することで、増殖及びゲフィチニブ感受性因子としての役割を担っていることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
今までそれぞれの理由で検討されていない重要な標的(「cancer stem cell の性格に関連した因子」、「EGFR-RAS 系と別に考えるべき p53 周辺のシグナル関連因子」)などに焦点を当て、「driver gene 治療の補助」という新たな役割の視点で、薬効を十分に発揮させることを目的とした研究であり、(1) エピジェネティックな遺伝子異常関連薬剤(HDAC、メチル化関連薬剤)の感受性予測システムの構築、(2) cancer stem cell の性格を有する細胞とp53 関連シグナル修飾に焦点を当てる。(3) エピジェネティックな遺伝子異常制御による間接的標的分子コントロールを利用した新しい併用療法開発システムの構築、(4) driver gene 標的治療との併用療法を中心に模索する、などの研究を進めている。下流に或る標的として、転写因子が浮かび上がり、代謝変化のも関係することから、重要なステップを踏んだと考えている。
今後、以下の研究を進める。(1)セカンドアタック候補因子の継続した探索を進める。すなわち、エピジェネティックな遺伝子異常関連薬剤(HDAC、メチル化関連薬剤)の感受性予測システムの構築、 cancer stem cell の性格を有する細胞とp53 関連シグナル修飾に焦点を当てる。(2)進められている転写因子の制御法を開発する、(3)driver gene 標的治療との併用療法を模索する。その後、多くの臨床材料からの培養腫瘍細胞およびマウス移植腫瘍で併用効果を確認する。
研究上、可能性の高い分子が単離されたため、その因子に関した研究を進めた。結果的に、予定していた包括的研究支出が少額となった。従来の26年度研究予定とともに、前年度に予定していた包括的研究についても、来年度進める予定である。その他、すでに、単離した分子についても継続的に研究を進める。
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