研究課題
VATSで肺病理組織が得られた他職器合併のある典型症例13例での検討を行いIgG4関連肺病変は、リンパ路を首座とするリンパ球形質細胞浸潤性の肉芽性病変であることを報告したが(Respirology. 2013 Apr;18 (3): 480-7.)、鑑別が問題となるMulticentric Castleman’s disease (MCD)の肺病変は肉芽性変化が乏しいが硝子化線維化を伴う濾胞形成などリンパ球形質細胞浸潤増殖が主体の病変で、リンパ路に隣接した肺胞領域が主座であるなどのいくつかの違いを報告し(病理と臨床 2014;32;10;1109-1116)、2疾患の病理学的比較解析の英文論文を投稿中である。また連携研究者の金澤が樹立したD1CCマウスで2型コラ一ゲンの皮下注射によりマウスRA肺モデルを作成し、病理形態学的な解析と高濃度水素分子(H2)水飲水の病変に対する効果を以下のように報告した(病理学会総会2015年, ATS2016年)。10ヵ月の早期病変では気管支や血管、胸膜の周囲の広義間質にリンパ球、形質細胞、好酸球、組織球の浸潤がみられ、肺胞領域にも散在性、小血管中心性にリンパ球浸潤や周囲気腔内の組織球集族とSp-C陽性の2型肺胞上皮の過形成を伴う早期の線維化病変が見られた。18ヵ月の後期進行病変では広義間質から肺全体に細胞浸潤と腔内線維化を伴う進行した線維化病変がみられた。D1CCマウスRA肺モデルは、病変の出現期間、分布、質も大きく異なり、ヒトのリウマチ肺病変に類似して有用なマウスモデルと思われた。RA肺モデルでは、血中のSp-Dや過酸化脂質マーカーLPOの上昇や胸部CT画像の肺野濃度上昇が10ヵ月でみられ、肺組織中のTNF-α、IL-6,TGF-βが増加するが、高濃度H2水投与では有意に抑制され、組織学的にも広義間質の炎症細胞浸潤や肺胞領域の組織球集族と線維化所見はH2水治療で抑制された。高濃度水素治療の臨床応用が期待できると考えられた。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件) 図書 (5件)
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