研究課題/領域番号 |
25461180
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 公益財団法人神経研究所 |
研究代表者 |
伊藤 永喜 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (90287681)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 / 睡眠呼吸障害 |
研究概要 |
本研究の目的は、低肥満水準で発症する日本人の閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の病態を、セファログラムやMRIを用いた上気道気道形態学的な3次元解析を用いて解明することである。また、体重の増減により、上気道形態がどう変化するのかを画像解析により明らかにすることで、日本人OSAS患者における減量治療の有効性を検証し、新たな治療指針の作成を目指すことである。 (1)3次元頭部X線企画写真とMRI画像解析による上気道解剖学的バランスの検討とX線指標の妥当性の検証:平成25年度は、男性閉塞型睡眠時無呼吸症候群患者671名を対象に、従来の頭部側面セファログラムに加えて、頭部正面X線撮影を行い、終夜睡眠ポリグラフ検査で得られたOSAS重症度との関連性を検討した。この研究結果は、平成25年第38回日本睡眠学会学術集会(秋田)にて報告した。平成26年度は MRIを用いた口腔/咽頭喉頭内の空間容積、舌および気道周囲の軟部組織や脂肪織の体積を測定し、OSAS重症度との関連性を検討する。また、頭部正側面のセファログラム解析と比較検討を行い、MRI画像研究の有用性ならびに優位性について比較検討を行う。 (2)減量が及ぼす上気道形態変化を定量化し、減量目標数値を求める研究 平成26年度は、OSAS患者における減量治療前後の気道形態の変化を、頭部正側面セファログラムと上気道領域MRI画像解析により解析を継続する。減量治療による呼吸障害指標の変化を解析検討し、OSAS重症度を軽減できる減量率のカットオフ値を求める。また、すでに持続陽圧呼吸療法や口腔内装置で治療を開始しているOSAS患者を対象とした長期予後評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、MRIによる上気道形態解析を八重洲クリニックにて予定していた。しかし、上気道形撮影に際しMRI画像撮影条件の設定に困難を極め、さらに当初予定していた三次元データ解析ソフトが使用できなくなったことも重なり、平成25年度から開始予定であったMRI画像研究を開始することができない状況に陥った。この状況を打開すべく、代替えの画像解析ソフトを見つけ出した。また、睡眠総合ケアクリニック代々木と業務提携のある四谷メディカルキューブにおいて綿密な打ち合わせを行って、MRIの撮影条件を擁立に成功した。これにより、滞りなくMRI画像解析を遂行できるシステムを確立することができた。平成26年度は、減量治療前後における上気道画像解析を行って、減量率のカットオフ値を決定するための研究に着手する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、25年度に引き続き対象症例のサンプリング行って、頭部正側面セファログラム撮影と上気道MRI撮影を用いた画像解析を行っていく。減量治療の対象者の収集を推進し、データ収集と解析に尽力する。これにより減量治療がOSASの重症度軽減に及ぼす寄与率を明らかにし、OSASの新たな治療戦略を構築すべく、研究を遂行していく所存である。
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次年度の研究費の使用計画 |
MRI画像研究を平成25年度から開始する予定であったが、MRI撮影条件が定まらず、また当初購入を検討していた画像解析ソフトを使用することができなくなったことから、OSAS対象患者を募集しデータの採取および解析が滞った。このため、解析に必要な高性能デスクトップパソコンやデータバックアップのための機材の購入ができず、また被験者およびデータ収集・整理などの担当者に支払予定の謝金が発生しなかった。 平成26年度の研究費使用計画としては、OSAS対象者(被験者)とデータ収集・整理等にかかわる担当者への謝金として使用する。また、データ収集・解析に必要な機材として、高性能デスクトップパソコンやデータバックアップ用の機材、セファログラム分析機器を購入する。
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