我々は、これまでに閉塞型睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea Syndrome ; OSAS)患者では、上下顎の大きさに対し舌が相対的に大きい、いわゆる上気道解剖学バランスが悪化していることを提唱してきた。 本研究では、この解剖学的バランス理論を応用し、(1)OSAS肥満群・非肥満群は、いずれも解剖学的バランスが崩れている(2)新たにMRI画像検査を用いた3次元的に解剖学的バランス解析手法を確立し、従来の2次元セファログラム解析方法との比較検討する(3)減量治療前後の上気道形態変化を検討し、減量治療の有効例の上気道形態特徴を解明する、以上を検証した。 その結果、(1)解剖学的バランスは、OSAS肥満群・非肥満の両群で崩れており、発症の重要な因子であった(2)2次元セファログラムと3次元MRI画像解析の結果は相関があり、2次元のデータは3次元の情報を推測しうる(3)減量治療の有効なOSAS患者は、軟口蓋長が大きい症例であることを解明した。 セファログラムやMRIによる解剖学的バランス理論は、OSAS発症や重症化のリスクファクターであることがわかった。また、クリニックで簡便に施行できる2次元セファログラムは、OSAS患者の病態を把握できるだけでなく、その治療方針を初診時の段階で決定しうる有益な検査であることが示唆された。
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