研究課題/領域番号 |
25461183
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
山田 徹 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 講師 (40512091)
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研究分担者 |
戸辺 一之 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (30251242)
林 龍二 富山大学, 大学病院, 講師 (60345585)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 細胞・組織 / 呼吸器学 / 肺線維症 / 熱ショック蛋白 |
研究実績の概要 |
Ⅱ型肺胞上皮細胞株(A549細胞)を用いて、TGF-β1(5ng/ml)で刺激し、HSP47の蛋白レベルでの発現をWestern blottingを用いてtime courseで再度確認したが、結果のばらつきが多く、再現性のある結果が得られなかった。そのため、肺の線維芽細胞であるCCD-33Lu(ATCC CRL-1490)を用いて実験を進めることとした。 CCD-33Lu細胞を用いてTGF-β1を0.1ng/ml、0.5ng/ml、1.0ng/ml、5.0ng/ml、10.0ng/mlの各濃度にて刺激を行い、48時間後のHSP47の発現をWestern blottingで測定したところ、0.1ng/ml、0.5ng/mlと濃度依存性にHSP47の発現が上昇し、それ以上の濃度ではプラトーとなった。同様にCCD-33Lu細胞を用いてSIRT1 activatorであるSRT1720を用い0.01μM、0.05μM、0.1μM、0.5μM、1.0μM、5.0μMの各濃度で刺激を行い48時間後のHSP47の発現をWestern blottingで測定したところHSP47の発現上昇はみられなかった。また、HSP47のmRNA発現をRT-PCRで測定したがTGF-β1単独刺激ではHSP47のmRNA上昇がみられたが、SRT1720単独刺激ではmRNA発現の上昇はみられず、TGF-β1+SRT1720刺激ではTGF-β1単独と同程度のmRNA発現を認めるのみで、SRT1720存在下での相加・相乗効果はみられなかった。このHSP47のmRNA発現はA549細胞でも同様の測定を行ったがCCD-33Lu細胞と同じ結果であった。 上記のことから、in vitroの実験ではSRT1720はHSP47の蛋白レベルおよびmRNAレベルでの発現を上昇させない結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
A549細胞を用いてのWestern blottingの実験では再現性が得ることが出来ず、刺激前にFCSなしの培養液を使用するなど工夫をおこなったが、結局、再現性のある結果が得られず、実験の進行を遅らせる結果となった。細胞を線維芽細胞のCCD-33Luに変更してからは、SRT1720がHSP47の蛋白レベルでの発現に与える影響の評価や、HSP47のmRNAを測定することによる転写に与える評価の結果が研究実績の概要に記した様に得られた。また、当初予定していた大学院生の協力を得ることが困難な状況となっており、マウスを用いた実験の進行に影響をあたえた。そのため、やや遅れている状態である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は技術補佐員の協力を得ることが出来たため、実験が前進したと考えている。平成27年度も引き続き、技術補佐員の協力を得て実験を進めていく体制を整えている。実験の打ち合わせを頻回に行うことで、実験を進めていく上での問題点を早めに見つけ出し、実験の進行が停滞しないようにしていく。 現時点ではin vitroでの実験が主になっているが、本研究はブレオマイシンによる肺線維症モデルマウスでのSRT1720がHSP47発現に与える効果を研究目的としている。本研究は、我々が過去にブレオマイシン肺臓炎のマウスモデルにおいてSRT1720が肺の線維化を増強させることを報告した研究結果が、研究動機となっている。マウスモデルの実験の遅れを補う目的で、その際に得られた保存されているマウスのパラフィン包埋された肺組織の一部を検体として免疫染色でHSP47発現等を測定することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
A549細胞を用いての実験結果の再現性をみるために、時間を費やしてしまったこと、細胞株などを用いたin vitroの実験が主となったためマウスを用いての実験が遅れていることが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
マウス購入および管理費に250千円、免疫組織学的染色のための各種抗体などに350千円、PCRなどの分子生物学的検査のプライマーやsiRNAなどの購入に350千円、Western blottingなどの蛋白実験試薬用に100千円、培養液と一般試薬に150千円程度を予定している。
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