研究課題/領域番号 |
25461189
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
小林 哲 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (20437114)
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研究分担者 |
GABAZZA Esteban 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00293770)
田口 修 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90197244)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肺線維症 / siRNA / RNAi / TGF-β |
研究概要 |
本研究の概要は、根本的治療が困難な難治性呼吸器疾患に対して、その病態に係わる責任遺伝子、蛋白に対するRNAi機構を用いて、それらをノックダウンすることによって、その疾患を制御しようとするものである。申請者らは、まずは、肺線維症に関しての臨床応用をめざし研究を進めて来た。さらにはその後の肺癌発生の制御にも応用しつつ、肺局所でのRNAi治療法の確立をめざし、その他の様々な難治性呼吸器疾患への応用を目指すものである。申請者らのグループはRNAiに用いる新規構造RNAの開発に成功しており、これらを用いることによって、日本オリジナルのRNAi創薬の可能性が高くなり、その臨床応用をめざすものである。本研究は、日本における呼吸器疾患に対しての、吸入法を用いたRNAi創薬を目指すものであるが、現在siRNAに関する主たる基本特許は欧米に取得されており、日本におけるsiRNA創薬は困難な状況となっている。そこで、申請者らは、それらの特許を回避可能な方法を考えつつ実験を行ってきた。まずは、RNAを一部DNAに置き換えたキメラ型のsiRNAを用いて実験を行った。ブレオマイシン肺線維症マウスモデルにおいて、TGF-βをターゲットとしたキメラ型siRNAを経気道的に導入しその線維化抑制効果、生存期間延長効果、酸素化能改善効果を世界に先駆けて発表した(Am J Respir Cell Mol Biol.46:397-406,2012)。さらに、よりヒト疾患モデルに近づけるために、世界で初めてヒトTGF-βの全長cDNAをマウス肺に発現させたTransgenic mouse(TGマウス)を作成し、自然発症肺線維症モデルの作成に成功し、このTGマウスを用いた実験でもキメラ型siRNAは同様の効果を示し、今後の、ヒトへの臨床応用の可能性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しいRNAの構造開発を行い、RNAiを引き起こすことが可能な新規構造RNAの開発に成功したのち、マウス肺線維症モデル及び急性肺障害モデルにおいて経気道的投与実験を行い新規構造RNAを使用したRNAi効果は、従来型siRNAに比べ安定性における優位性が証明された。ここまでの時点でおおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
新しいRNAの構造開発を行い、RNAiを引き起こすことが可能な新規構造RNAの開発に成功し、マウス肺線維症モデル及び急性肺障害モデルにおいて経気道的投与実験を行い新規構造RNAを使用したRNAi効果は、従来型siRNAに比べ安定性における優位性が証明された。この治療法のプラットフォームを確立させ、肺線維症、肺癌以外の難治性呼吸器疾患への局所RNAi効果の検討を行っていく予定である。将来的には肺癌をはじめ、他の難治性呼吸器疾患にも応用することが可能になる有望な方法であると思われる。
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