研究課題/領域番号 |
25461190
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
坂東 修二 香川大学, 医学部, 講師 (60314928)
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研究分担者 |
石井 知也 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (80467836)
金地 伸拓 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (60403789)
羽場 礼次 香川大学, 医学部附属病院, 准教授 (90304584)
藤田 次郎 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80209056)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ビメンチン / 肺癌 / 浸潤能 / マトリゲル |
研究実績の概要 |
平成26年度は平成25年度から引き続いて肺癌細胞の浸潤能とビメンチン発現の関連性を検討し、以下のことを見いだした。 1. マトリゲルを何度も通過して、人為的に浸潤能を亢進させた肺癌細胞では、ビメンチン発現は増加する。 2. プラスミドベクターにビメンチンに対するshRNAを組み込み、これを肺癌細胞内にpermanentにtransfectionした場合には、ビメンチンの発現は著しく低下し、ビメンチンの発現量が減少した細胞株では浸潤能も低下する。同じように一過性のsiRNAでビメンチン発現を抑制した場合も肺癌細胞の浸潤能は低下する。 3. ビメンチン発現量が増加した場合の肺癌細胞の浸潤能が亢進する機序がマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の産生亢進によるものではないかという仮説の基、ビメンチン発現が亢進した肺癌細胞株を用いてMMPの産生量を計測したが、MMPの産生亢進は観察されなかった。したがって、それ以外の機序で浸潤能が増加していることが判明した。 4. 外科にて切除された肺癌組織のビメンチン染色を行ったところ、ビメンチンの発現が多い肺癌患者の予後は発現の低い患者の予後と比較して悪い傾向が認められた。 以上の研究結果より、おおむねビメンチン発現と肺癌の浸潤能に関係性が見いだされる結果が得られているが、なぜビメンチンの発現増加があると肺癌細胞の浸潤能力が亢進するのか、また動物実験でもマトリゲルで観察された浸潤能の亢進が見られるのかという点が明らかとなっておらず、平成27年度はこれらの点を明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初はサイトケラチン分子と肺癌細胞の浸潤能に関する検討であったが、初年度より、サイトケラチンよりビメンチンが重要であることが研究の結果明らかとなった。しかしながら、研究手法や経過には全く影響はなく、in vitroの実験およびヒトの肺癌組織における検討も終了した。最終年度はin vitroで確認できた現象がin vivoでも確認できるかどうかの検証を行う。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は上記の通り、重要な研究方針は以下の点である。 1. ビメンチンの発現が増加した場合、いかなる機序で肺癌細胞の浸潤能が亢進するのか:この機序の解明を行う。MMPの産生亢進では説明できなかったため、今後は移動能(遊走能)の亢進か否かを検討する。 2. 人工的にビメンチンの発現を亢進させた肺癌細胞株と発現を低下させた細胞株をマウスに移植し、その浸潤能の違いを観察する。 以上の実験を今年度行い、ビメンチンが肺癌の浸潤能を増加させる事を証明し、学会発表及び論文発表へと繋げる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬・消耗品費が効率的な実験および価格交渉によりわずかに下回ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度にはマウスの購入費が多く必要となるため、これに充てる予定である。
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