研究課題
本研究では、肺コレクチンによる腫瘍増殖抑制機能を調べ、その機序を明らかにし、さらに、喫煙や大気汚染時の肺コレクチンの蛋白分子と機能の変化を調べることによって、慢性閉塞性肺疾患(COPD)等の肺病態進展における肺コレクチンの役割を調べた。ヒト肺腺がん細胞株において、SP-AとSP-DはEGFによるEGFR、Erk、Aktのリン酸化を抑制し、細胞増殖・遊走・浸潤を抑制した。125 I-EGFを用いた解析ではSP-AとSP-DはEGFとEGFRの結合を阻害した。EGFRの組換え細胞外ドメイン(sEGFR)を発現、精製し、表面プラズモン共鳴センサーで解析したところ、SP-DはsEGFRにCa2+依存性に結合したが、N型糖鎖を切断したsEGFRには結合しなかった。質量分析による解析から、ドメインⅢ(リガンド結合部位)に高マンノース型糖鎖が存在したので、SP-DはドメインⅢの糖鎖に結合し、EGFRのリガンド結合を阻害すると考えられた。一方、SP-Aは糖鎖除去sEGFRにも結合し、SP-Dの機序と異なっていた。また、SP-Aは肺がん細胞株に対してgefitinibとの併用により相加的にがん細胞の増殖を抑制した。CSEとacroleinの暴露により、SP-Aは分子内のreactive thiolの減少、acrolein付加が認められた。SP-Aのacrolein修飾部位として、His116が同定された。さらに、SCE、acroleinの暴露により、SP-Aの大腸菌増殖抑制能が低下した。
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